日本財団 図書館


1 地域防災計画書等の各種防災計画書

 

(1)対象とするデータのデジタル化方法

 

地域防災計画書等のデジタル化は,その構成内容が基本的に文字情報主体であるので,OCR変換手法を取り入れたデータ入力が中心になると思われる。また,ワープロソフトなどで作成された計画文書は,コンバージョン(データ変換)ツールによってコンピュータ環境に移すことができる。さらに,一部図表や地図等を含む部分は,スキャナーなどの画像取り込み装置を用いて画像データとして取り扱う。表はOCRなどを用いてテキスト化し,データベースに取り込む方法もある。

各データは,使い慣れたワープロソフトやテキスト,表,画像を一緒に扱えるDTPソフトを用いることによって,追加・修正・削除などの一連の加工,編集作業を柔軟に行えるようになる。

このように,保存されたデータは,PDF(統合環境ソフト)などのプラットホームを選ばない標準化されたフォーマットへ出力することにより,環境に左右されずに自由に閲覧することのできるデータとして保存することもできる。PDFは,それ自体コンパクトにまとめられた形になっているが,さらに圧縮技術を用いてデータサイズを小さくすることができれば,限られたスペースに大量のデータを納めることができると思われる。圧縮技術は同時に暗号化も行ってくれるので,データのセキュリティ面もカバーされる。

また,ネットワークによりサーバへの接続ができる環境を導入すると,サーバー上に作成したデータを保存できる。関係者が相互に共有することにより,計画作成・修正作業の効率と生産性が向上する。

データの配付・発信は,PDFであればそのままの形でメディアを用いて配布することができる。また,インターネットサーバーが整備されている場合は,特に変換処理を施さずにそのままの形でインターネット上で情報発信をすることもできる。

このように,これからの地域防災計画等のデータ作成作業は,コンピュータ上での作業を中心として進めることができれば容易にデジタル化を進めることができる。各自の使い慣れたツールを使って作成作業を行っても,標準化されたPDFなどのフォーマットを使用すればどのマシンでの作業もプラットホームを選ばずに行うことができる。

 

(2)デジタル化資料の有効利用

 

地域防災計画等の各種防災計画書に掲載される計画事例は,印刷物(紙媒体)によるデータとして蓄積される。その一部はワープロ文書の形でデジタル化が進みつつあるものの,各地方公共団体の内部資料として蓄積されているにすぎない。一方,これらのデジタル化が進み,生成されたデータが蓄積されてくると,当該地方公共団体の計画改訂への有効活用や他の類似団体の優良計画事例の参照・活用についてのニーズが生じうる。

そのため,これら計画事例を有効活用できるよう,データベース化,あるいはハイパーテキスト化を図る必要があると考えられる。

 

2 防災関連調査報告書

 

(1)対象とするデータのデジタル化方法

 

防災関連調査報告書のデジタル化は,その構成内容が文字・数値情報主体であるため,データのデジタル化方法は,基本的に地域防災計画書等の各種防災計画書と同様である。具体的には,OCR技術(文字認識技術)を取り入れたデータ入力が中心になると思われる。

ワープロなどにより作成された文章は,データ変換ツールによってコンピュータ上の環境に移すことができる。また,一部図表,写真及び地図等を含む部分はスキャナーなどの画像取り込み装置を用いて画像データとして取り扱う。表はOCRなどを用いてテキスト化し,データベースに取り込む方法もある。

 

(2)デジタル化資料の有効利用

 

この資料の最大の特徴である知見データを主体とするデータであるという点に着目すると,各種防災関連調査によって得られた成果とそのエッセンスをもとに知識ベース化を図ることが重要である。これらのデータを,データベース化することができれば,蓄積されたデータをもとに被害予測や防災体制の評価・診断等のシミュレーションシステムに応用することも可能となる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION