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射に直接晒される位置にあったためと思われる。

全般的に見て、300℃以上になっているとき炎に接した場合炎上している。そして炎上により400℃前後まで温度が一気に上昇している。なお、この樹木の防火力も40号棟が炎上するまでであって、前方(41号棟)と背後(40号棟)の火に挟まれては、耐火力も限界を越え、樹葉を焼失し、幹だけとなった。

41号棟(点火棟)から40号棟へは、樹木のない部分は、点火後約6分25秒で測点00に近い軒下へ火が移った(輻射熱による自然発火)。一方、樹木のある部分は、延焼は無かった。40号および39号棟へは、延焼した東側部分から順次西側へ燃え広がったものであって、樹木を越えた延焼はなっかた。樹冠は一部炎上したものの、最後まで延焼をくいとめ、立派に防火に役立つことを立証している。

本実験においても、樹木の有無による差は明かであった。樹木は300℃でも接炎が無ければ炎上に至らないようである。また例え炎上しても立消えの特性があるため、なお、防火力は維持されるものと考えられる。従って、このような樹木を用いた場合、樹木により遮蔽された点(例えば、測点07、03)は、樹木前面の家屋が燃え落ちる時点になっても、常温を若干上回る程しか温度は上がらない。

このような樹木の活用は、大火時の人命並びに財産の安全性確保に極めて有効な手段である。また、その市街地への適切な配置は、市街地火災の拡大防止に有効であり、都市機能の安全を約束するものである。

 

 

 

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