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も、我々のつけいることのできる敵の弱点が露になる。

 

我々の迅速な指令により、海を起点とした作戦の利益は増大する。迅速な指令は迅速な情報収集、事態の判断、一連の行動の策定、即座に圧倒的な効力をもってそれを実行する能力をもたらす。現代のハイテク市場と同様に、迅速な指令は、比較的控えめながらも的を得た初期投資を達成するものである。こうした能力の特徴は、変化が非常に速いことである。これにより敵の戦略は封鎖され、その代わり我々の成功の道が切り開かれるのである。我々は迅速性、偽まん、そして不意を利用して敵の脆弱性を創出し、それを利用して迅速にすきを捕え、戦術・作戦的状況を我々に有利にし向ける。我々は戦闘能力をハイテンポの連続空間で用い、弱点を着実に利用し、敵の落ち着きを奪い、一貫した行動計画を遂行できないようにする。我々の行動は我々の利得を無効にしたり紛争の最終結果を変えるための敵のオプションを奪い、連合軍および国内支持を増大させながら敵の戦闘意欲を奪う強力な勝利の自己実現的期待を増大させる。

 

海軍力は沿岸での統合・連合軍に対して耐久力のある保護を与え、聖域を作りだし、そこから敵の意思に反して作戦を展開することができる。我々は沿岸の統合・連合軍を支援することにより、重要なシーレーンおよび空中の通信ラインを確保し、沿岸における戦闘空間を支配し、制空権および弾道ミサイル防衛などの防衛能力を提供することができる。同様に重要なことであるが、我々は脅威に対してその発生源において対抗し、敵を守勢に回らせ、敵の軍隊を利用不可にすることにより、攻撃作戦を展開して我が軍を防衛するのである。

 

今までどおり、我々は重要な海上兵站パイプラインを統合軍事行動の間機能させておく。1991年の湾岸戦争および今世紀の他の大規模紛争の間、95%を越える物資、供給、装備品が戦域に海上輸送された。我々は大規模な合同作戦にとって重要な戦略的海上輸送、プレポジショニング船および兵站施設を保護する。

 

最後に、海軍は合同軍事行動後も現地に残り、制裁執行および地域の安定のために米国のプレゼンスを維持することができる。我々は現地での戦闘能力を維持できる持久力を利用することにより、将来の合同軍事行動を避ける。我々の最大の貢献は、関与および抑止のための前方展開プレゼンス全体を通して将来の紛争を回避することであろう。

 

21世紀の我々の道

 

「前方…海から」が強調することは、沿岸地域へのパワー・プロジェクションには、海軍が統合作戦用に整っていなくてはならないということである。「統合ヴィジョン2010」は21世紀の統合戦闘作戦の基本モデルとなり、支配的作戦行動、精密関与、全方位防護、そして適切な兵站を行うべく、情報を優位に利用する将来の統合戦闘作戦を展望するものである。こうした作戦コンセプトの大半は「前方…海から」の中で既に予期されていたのである。多くの分野において、海軍は「統合ヴィジョン2010」の主導的立場にある。

我々は今後とも積極的に技術的・作戦的イノヴェーションを行っていく所存である。我々

 

 

 

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