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実際、一部の方面では実際に作業が進められている。例えば、西沙群島中最大の島であるWoody ls‐landには、8,000ftの滑走路を備えた飛行場が建設され、長い間必要とされていた長距離上空掩護が可能になった。Chenhang Dao島付近の岸壁の浚渫は完了し、島嶼内での作戦を支援するための運用指揮システムも完成したと伝えられている。Fiery Cross礁のような極めて狭い場所に建設した理由ははっきりしないが、それは中国のプレゼンスを事実上示す標識になる。また、将来レーダーやSIGINT警戒所、対艦ミサイルサイトが設置される可能性もある。後方支援の面も考慮されている。1995年3月、中国軍の機関紙「解放軍報」の中で、「南シナ海艦隊の海軍基地は、南沙群島の島嶼に対する補給物資の調達・輸送・供給システムの統合に成功した。約30回の補給作戦の後、このプログラムによって、輸送の質は向上し、補給時間は以前の5分の1以下に短縮された」と伝えた。

 

42.最後に中国の空母について述べよう。そのプログラムについてはほとんど知られていないため、コメントは短いものになるであろう。中国は長年、海軍航空に関する資料を集めてきた。海軍の政策立案者はロシアやウクライナと討議を続け、オーストラリアの空母MELBOURNEをスクラップとして購入し、海軍の建造技術の知識を新ためたことは疑いない。現在のところ、中国は評価段階を超えるものではないと見積もられる。評価すべき中心的事実は、中国が全く新しい天地を切り開いていることであり、この新しい冒険的事業でかなりの問題点に直面するであろうという点である。中国は、将来直面するであろう問題の大きさをよく心得ており、時機を待つ用意をしている。空母能力の開発は、常に中国の長期的野望であるが、それを急ごうとはしていない。彼らは真の空母能力を開発、運用することがいかに大変なことで、それが他国から学ぶことだけで達成できるようなものではないことを実感するであろう。ロンアの経験か良い例である。何年もの間、KIEV級を隠れて運用した後に、1987年初頭に初めて本物の空母、KUZNETZOVを就役させた。最初の航空群部隊の試験飛行は痛ましくも遅々たる進展を示した。現在でさえ、にKUZNETZHOVは24時間の飛行作業を実施することができないため、西側の基準では運用しているものとは認められない。そのような実例があるために、中国は設計の選択には慎重となるであろう。彼らは、カタパルト発射、拘束着艦式に進む前に、理想としては短距離離陸‐垂直着陸STOVL母艦を選ぶことを望むであろうが、現在のところロシアを説得して、Yak-41を復活させない限り適当な機種が見当らないようである。故に、2010年頃までは本物の空母を完成することはできず、暫定措置としてヘリコプター能力の強化を選ばざるを得ないであろう。

 

48.これからの数年間で新しい建造プログラムが進み、ドクトリンが開発されていくにつれて、中国海軍の活動の中心となるのは、次第に野心的となってきている統合訓練であろう。これは、もし(そしておそらくそうなるであろうが)自らが取り組む任務の性質が、より強力な兵力との接触があった場合にも効果的であるためには、訓練自体が苛酷なものであることが分かるであろう。特に、指揮・管制権については、下は隊レベルに及ぶまで慎重に考慮されねばならないであろう。中国は「Desert Storm」作戦の研究から、近代の海洋戦域での統合戦の動きは速いため、成功させるには必要に応じて意志決定がどれだけ下のレベルにまで委任できるか、に大きくかかることを知るであろう。例えば

 

 

 

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