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・第3段階(2020〜2050年)

-潜水艦は原子力攻撃潜水艦を重点的に発展させる。

-本格的な航空母艦を保有する。

-航空兵力は艦載航空機を発展させる。

(3)演習・訓練

中国は、各種の演習や遠洋航海訓練を実施している。

1996年3月、台湾の大統領選挙直前に行った大規模な軍事演習は、先ず、台湾の北部沖と南部沖の2カ所に合計4発の地対地戦術ミサイルM9(射程距離600キロメートル)を撃ち込み、次に、台湾海峡において海・空軍の艦艇、航空機による実弾演習を実施し最後に陸・海・空三軍の合同上陸演習を実施した。これらの演習は、まずミサイルによって台湾の重要目標を攻撃して政治及び軍事の中枢機能を破壊し、次いで海・空軍によって制海権及び制空権を獲得し、最後に陸・海・空三軍による上陸作戦によって、台湾を占領するという一連のシナリオに沿ったものと見ることも出来よう。

また長期にわたる外洋訓練も実施しており、本年2月、ミサイル駆逐艦2隻と補給艦から成る遠洋練習航海部隊を編成し、アメリカ、メキシコ、ペルー及びチリの4カ国を歴訪する3カ月余に及ぶ大航海訓練を行った。これは長期の航海を通じて、兵員のシーマン・シップを養い、装備機器の信頼性、後方支援能力等を確認するとともに、外国との相互理解と友好親善に資するものである。

これらの演習や側線が、外洋行動能力、統合作戦能力を強化し、強力な海軍力の育成を目指していることは明白である。

 

4 おわりに

中国は、現代における海軍の重要性を十分に理解しており、国を守り、海洋権益を擁護し、更にアジア・太平洋地域、ひいては国際社会への影響力を拡大するために、原子力潜水艦、航空母艦等を保有するバランスのとれた遠洋作戦能力を有する強力な海軍力の建設を目指していることは明かである。

中国は大国であり、また、過去の植民地ととて侵略された屈辱の歴史を考慮すると、中国が強力な海軍力を保有したいと願うのは当然であろう。問題はその使い方である。中国政府は「中国は決して覇権を求めないし、他国の脅威とならない」と表明しているが、その言葉どうり信じてよいのであろうか。

 

 

 

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