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ブラジル―この地域では報告された被害件数が1994年の7件から1995年の17件へと非常な増加を見せた。1996年には16件であった。リオでは1隻の船が2度に亘って賊に乗り込まれたが、初めの時はこの船の乗組員が全ての戸に鍵をかけて賊の侵入を妨害した。2度目には賊は侵入口を作るのに使う道具を持って戻って来たのであった。

 

注目事項

 

次に述べる数々の事件はその蛮行のためにここで詳細を述べる事にする。これらの事件はいづれも1997年前半6ヶ月に起きたものである。

 

フィリッピン― 1997年4月29日快速モーターボートに乗ったモロ イスラム開放前線部隊のメンバーがフィリッピンのイサベラにある港に近づき、マシンガンによって船舶2隻に向かって発砲し始めた。各地方からのとうもろこしや米を運んでいた貨物船ミゲル ルジャン号と乗客を乗せて島の間を航行するレオナラ号が受けた弾丸で穴だらけになった。 物質的な被害は大した事はなかったが、事件は乗客や地域住民を震い上がらせた。その事件で重傷者2名を含む5人が負傷をした。1時間後に軍隊が到着したが、犯人達は近くの小さな島に向かって逃げてしまった。

 

ペルー/コロンビア―ペルーとコロンビアの間のアマゾン川で1997年1月22日快速モーターに乗った海賊が客船リオ アマゾン号に近づいて料理室の窓を破り開けた。ピストルで武装した一団は乗組員と乗客を威嚇して、現金2万ドル、貴金属、無線電話、燃料、食料などを略奪した。

 

ドミニカ共和国―ドミニカ共和国のリオ ヘイナでは船舶はいつも密航者に出くわすので、厳しい見張りを続けている。しかし、ノルドフェラー号の場合はこの厳しい見張りも役に立たなかった。1997年6月4日現地時間午前3時、16歳から20歳までの黒人3人と白人1人からなる海賊4人が、刃の長いナイフと斧と竹竿の先に結びつけた引っ掛け鉤をもって近くの岸辺から泳いで来た時には荷揚げをしていた。見張りが前方甲板、船舶中央、船尾にいたにも関わらず、賊は船に乗り込み、見張りを殺すと脅し、彼らを縛り上げてしまった。2等航海士の喉元にナイフを突きつけながら2人の賊が、この2等航海士の部屋を開けさせ部屋を漁り回った。更にブリッジへ入り六分儀を盗んだ後、先の2人が2等航海士を縛り上げている間に他の2人が機関室内の物を略奪した。

 

プラジル―1997年5月18日現地時間午前5時10分、イルヤ エレンバーグ号がブラジルのサントスのアラモア ターミナルに停泊中、覆面に銃やナイフで武装した6人の海賊が

 

 

 

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