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GPSを利用した測位は、一般的に単独・相対測位の2種類に分けられるが、測量では、主に後者の内の干渉系測位が利用されている。干渉系測位では、2台以上の受信機を使用し、同時に同じ衛星を4個以上利用する必要がある。GPS衛星の位置を基準とし、衛星から各々の受信機に、電波が到達する時間差を計り、相対的な位置関係を明らかにしていく方法である。

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特に、キネマティック法のうち、リアルタイムキネマティック(RTK)法と呼ばれる測位は、即時性と位置精度の面で優れている。基準局で受信したGPS信号を、無線通信により直ちに移動局に送信し、移動局で受信したGPS信号と併せて解析することで、誤差1〜2cm程度の高精度な位置測定を、1〜2分程度で行うことが可能である。

 

●電子基準点とそのデータの提供

現在、このGPS技術を利用した電子基準点が、日本全国に約900点設置されている。電子基準点とは、正確にはGPS衛星から電波をキャッチする受信機であり、各種測量の基準点や、地震・火山噴火等の予知調査研究を目的とした広域地殻変動監視点として利用するために、全国に約25km間隔で設けられている。

今後も電子基準点は増設され、将来的に、約2000の電子基準点を利用したGPS観測網が確立される予定である。

全国の電子基準点の観測データは、茨城県つくば市にある国土地理院の施設に、電話回線を通じて集められ、解析処理が行われる。今後、これらの電子基準点の観測データや関連情報は、公共測量等の分野で、必要となるユーザーに提供されていく計画となっている。従って、現在は各種の基準点データが存在するが、将来的には、この電子基準点データをベースとした多様な空間データを、各ユーザー間で円滑に交換できる環境も整ってくるものと期待されている。

この電子基準点を利用したRTK測位に関して、その実用化を図るために、国レベルでの積極的な取り組みが進められている。1997年から、実用化に向けた実験も開始されており、将来的な、GISで利用する基準点の統一化や、GPS測量で作成した空間データの活用をうらなう上で、電子基準点を利用したRTK測位の動向に留意していくことが望まれる。

 

 

 

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