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で、いったん裸になってしまった海岸林をどうやらヤマモモやウバメガシで救ったらしい。ヤマモモで救うといいますけれども、植林できるほど育てることがどんなに困難かということ、これは今説明すると長くなりますから語りませんけれども、そういう努力をしてきたわけなんです。

それには、自然に対する物すごい洞察力と、物すごく気を使った扱い方をしてきたはずなんです。その海岸林に、たくさんごみがあります。しかも、さっき言いましたように、分解できないごみなんです。砕けて、溶けて、悪い養分になって海に流れ込んでいるはずです。それが魚の体に入って私たちの口に返ってくるはずなんです。

これは、紀の川の河川敷に捨てられたものです。

 

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海岸にもたくさん打ち寄せられますね。

 

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先祖の人が営々として魚つき保安林をつくり上げ、維持してきたそのヤマモモ林にこんなふうにどばっとごみが捨てられているんです。先ほどから、姉崎先生のお話にもありました。子供たちのやわらかい頭にこれを教え込んでいかなければならないとおっしゃっていました。そのとおりだと思います。

しかし、子供たちに教えなければいけないのは、やっぱり親と教師と社会です。いつだったか新聞に出ていた大岡信さんの、日本語に関する話ですけれども、今の日本語の乱れを嘆いているある人の歌を取り上げて、このように日本語が乱れていくのは、元はと言えば親の責任、教師と社会の無責任と断じていました。私も、このように地球が汚れていくその責任は、元を正せば親の責任、教師と社会の無責任と思っています。

瀬田 ありがとうございました。

前田先生は非常に熱血漢というんですか、もうお年を越えて憤っていらっしゃることがスライドの中からうかがえたかなと思います。

次に、太平サブローさんには海に潜っていらっしゃるという経験、あるいは海の中からのメッセージということで、できればきれいな景観と上から落ちてくる、あるいは底にたまってしまうごみについてお話をしてください。

太平 きょうは、本当に立派な先輩方がたくさんおられまして、その前で、職業柄、そう固

 

 

 

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