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分権推進計画」を策定し、県と市町村の役割分担と権限移譲、県の市町村に対する関与の是正、市町村の体制整備、県の市町村に対する支援などに取り組む意向を示した。

 

住民参加の推進

住民参加の推進について、宮崎氏は、「情報が簡単に入るシステムづくりが必要。」と情報公開の推進を挙げ、中川副知事も「住民の知りたい情報を、出したくないものも含めて積極的に提供することが今後より強く求められる。」とした。さらに、遠藤町長が「情報を共有することにより、住民の参加を広げていく透明な行政を、これから率先してやらなければならない。」と述べ、行政の情報公開の必要性について認識が一致した。

また、大山助教授は、自己決定権の受け皿について「必ずしも市町村を終着駅にする必要はなく、地区の評議会のようなものをつくり、そこに任せるようなことも必要である。」と述べ、住民自治の根幹は、ある程度住民に自己決定権を持たせることで、住民主体の個性溢れる行政を実現していくことであるとした。

さらに、大山助教授は地方議会に対して「国会についてはある程度情報が得られるが、地方議会では何が議論されているかわからない」と述べ、「ケーブルテレビで中継したり夜間に開会するなど、積極的に住民との接点を作る必要がある」と地方議会運営上の改善点を挙げた。

このほかの発言では、「地方分権は、住民にとって、自治体にとって戦後の民主主義から本当の民主主義になっていく流れであり、第2次、第3次の分権が必要である。」と田代氏から非常に力強い言葉が発せられた。

終わりに、恒松氏が「分権型社会を築くためには、明治以来の上下・主従の関係を対等協力の関係に変えようということは大変すばらしいことであるが、問題はそれを受けとめる住民の意識改革をいかに図っていくかということ、そのためには自治体自らが、できるだけ住民に情報を公開し、住民の理解、参加を求め、それにより、民主主義とは何かを追及していく必要がある。」と指摘してパネルディスカッションを締めくくった。

以上のように、地方分権と住民参加の視点を中心に非常に広範囲にわたり積極的な議論が展開された。

このほか、浦和女声合唱団によるオープニングセレモニーやタケカワユキヒデ氏によるコンサート、また、ホワイエでは、地方自治法が施行されてから50周年になることから地方自治や地方分権の歩み、全国の皆様からの地方分権に対するご意見のパネル展示、地方自治アニメーションビデオ「やさしい地方分権」、本県のホームページ「自治と分権の広場」のデモンストレーションも行い、好評を得た。

終わりに、地方分権推進委員会は、これまで内閣総理大臣に対して4次にわたる勧告を提出した。内閣は、地方分権推進法の定めにより、これら勧告を指針として、平成10年通常国会終了時までに地方分権推進計画を作成、計画に基づく諸施策を実施することとされている。地方分権はいよいよ議論から実現の段階を迎える。このような重要な時期に、埼玉県において地方分権推進委員会の中心メンバーとしてご活躍いただいた西尾勝東京大学教授をお迎えし、全国規模のフォーラムを開催できたことは大変光栄なことであり、これを契機に住民の方々が地方自治、地方分権についてのご理解を深められ、行政と一体となった取組みができるきっかけとなれば幸いである。

最後にこの場をお借りして、フォーラムにご参加いただいた皆様、出演者の皆様、また、地方六団体、財団法人自治総合センターの皆様をはじめ、本フォーラムの開催にご協力をいただいた関係各位に厚くお礼を申し上げる。

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