日本財団 図書館


(17)甲板冠水持続時間の推定に基づく乾舷規則の評価

万 順涛(九大大学院),新開明二(九大)

大洋を航海する船に発生する甲板冠水について,その発生持続時間について,確率変数としての分布の影響を取り込み,包絡線理論の応用として応答の非零レベルに関する超過持続時間の確率密度関数の近似解を誘導した。その結果に基づいて,甲板冠水持続時間率推定値の信頼度検討の際の二,三の問題点を明らかにするとともに,乾舷規則(ILLC 1966)に対する見直し作業の結果等の評価に関連して,地球全海域の長期波浪統計資料GWSと乾舷規則の航行区域の帯域図との相関関係を明らかにする観点から,調査した結果を報告する。

005-1.gif

 

(18) 向かい波中の漁船の転覆プロセスと数値シミュレーション

平山次清(横浜国大),西村浩二,福島正朗(研究当時横浜国大)

船舶の波浪中転覆メカニズムについては従来から多くの研究がなされており,特に横波中,追い波中についての報告は多い。一方,最近の例で向かい波中を航走中の漁船が転覆したとされる海難があったが,向かい波中の転覆プロセスについて検討された例は少ない。本報告では方向スペクトル波中も含めた向かい波中漁船の転覆プロセスを実験的に検討し、数値シミュレーションによっても波浪中の操舵影響などを検討した。

005-2.gif

 

(19) 自由落下式救命艇の着水後の運動様式と安全性について

荒井 誠(横浜国大),M.R.H.Khondoker(バングラデッシュ工科大)

自由落下式救命艇の着水時の挙動は,艇の特性(重量,船型等),滑台の特性(傾斜角,滑台上の滑降距離等)および落下条件(落下高さ等)によって決定される。本研究では,著者らが開発した数値計算法を用いて,これらの諸設計パラメータと着水時の艇の運動の関係を調べ,安全かつ円滑な脱出を実現するための条件を定量的に検討する。

005-3.gif

 

(20) フラップ舵を装備する船舶の操縦性能とその推定

芳村康男,佐々木紀幸,竹川正夫(住友重機械)

フラップ舵を装備する船の操縦性能について新しい舵力モデルを提案し,これを模型試験結果と比較した結果,舵力の増加を有効舵面積の増加に置き換える従来の推定方法に比べ,より良い一致が得られた。また,フラップの角度特性の違いが常用舵角の操縦性に及ぼす影響を検討した結果,針路安定船の場合は,小舵角での強い舵効きはZ試験のオーバーシュートを大きくし,小舵角でフラップ角の小さい舵が適していること。逆に針路不安定船の場合は,小舵角でフラップ角が大きく舵効きの強いフラップ舵が,ループ幅や10°Z試験のオーバーシュートを小さくできることが明らかとなった。

005-4.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION