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(9) 積分Green関数法に基づく3次元非定常波動流場の計算法(その1 積分Green関数の性質について)

渡辺 巖(船舶技研)

波浪中を航行する船舶周りの流体現象の解析手法としてはストリップ法が実用的なものとして使われているが,多くの点で不十分である。本来の流れ場は3次元的であり,3次元計算法の確立が長く望まれているが,数値的な問題点が克服できずに今日に至っている。本論文ではこの3次元計算法の一種であるGreen関数法に着目し,新しい考え方による数値解法を提案する。ここで提案するのはGreen関数を超関数としてとらえ,それを直接数値計算するのではなく,パネル上で積分されたGreen関数を用いる方法である。この考え方によれば,水線面近傍でも係数マトリクス(核関数)は発散しないこと,数値計算が困難とされてきた線積分項も計算できること等従来問題とされてきた数値解析上の問題点のほとんどが克服できることを示す。本論文ではこの研究の第一報として,積分方程式の骨格をなす積分Green関数の数値的性質を中心に考察している。

 

(10) 造波水槽における長周期波リアルタイム遅延制御とその短時間フーリエ変換による検証(英文)

野原 勉,松浦正巳,葉山安信(三菱重工)

造波水槽にて不規則波を発生させると,長周期波のみが被試験体に早く到達してしまい,試験開始時には規定のスペクトルにならないという問題がある。本研究では,この問題に対して,リアルタイムで長周期波の発生を制御する手法を述べる。さらに,短時間フーリエ変換により,本アルゴリズムの有効性を検証した。

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(11) 波浪中における弾性平板の運動(英文)

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高木幹雄,Xiechong Gu(広大)

波浪中における超大型海洋構造物の弾性変形を推定する手法として第1報ではモード解析法を開発し,実験結果との比較によりその妥当性を示した。今回,第2報では超大型海洋構造物が洋上で建造する際に変形平板状構造物と矩形平板状構造物を引き付けて接合する状態を想定し,第1報のモード解析法を適用して,構造物間の結合部におけるギャップならびに構造物の弾性応答に対する波向きの影響を検討している。下図は入射角315度における接合する二個の構造物の弾性応答の虚数部を示したものである。

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(12) マット型超大型浮体構造物の波浪応答解析

安澤幸隆(九大),河野大介(三菱重工),香川洸二,北林研一(九大)

浮体式海上空港などの超大型浮体海洋構造物の波浪中の応答を調べるために,任意の方向から規則波を受けたときの流体力および浮体の弾性応答を求めるための数値解析コードを開発した。本研究では,コード開発に用いた基礎理論および定式化を説明している。開発された数値解析コードを用いて計算した結果は,船研で行われた実験結果とよく一致することが確かめられた。

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