(5) 非構造移動格子法による流れの計算と複雑な2次元流れへの応用(英文)
金 文燦(広大大学院),茂里一紘(広大),土井康明(広大),徐ネ(広大)
高粘性流体中を複雑な形状の物体が任意運動する場合の非定常流れをシミュレーションする計算法として,非構造移動格子を用いた数値計算法を示している。運動する物体周りの格子をMovable zoneとして領域分割することにより計算量を軽減している。形状が複雑な物体周りの定常流れと回転しながら移動する矩形周りの非定常流れの計算を行い,計算法の有効性を示している。
(6) 肥大船周りの造波粘性流場の数値計算
塩谷茂明(長崎大),児玉良明(船研)
著者等はNSソルバーで二種類の格子を用いた自由表面波を効率よく計算できる方法と,SR222で開発された修正Baldwin-Lomax乱流モデルを取り入れプロペラ面伴流分布のhook状の「くびれ」の推定が可能な計算コードを開発した。そして,Series60(CB=0.6)模型船周りの造波粘性流場の計算を行い,高精度の抵抗と造波粘性流場を得た。本研究は,この計算コードでタンカーのような肥大船の計算を行い,船尾形状の変化に対する抵抗,波紋,船体圧力分布,伴流分布等の追従性を検討する。供試船はSR196 A,B,C船体であり,本計算コードが肥大船にも十分対応が可能であることがわかった。
(7) NICE法による斜航・定常旋回状態の肥大船まわりの流れの計算
牧野雅彦,児玉良明(船舶技研)
斜航・定常旋回状態の肥大船型,特にU字型断面をもつ船型まわりの流れでは,強い船尾縦渦が発生し,流体力に大きな影響を及ぼす。Baldwin-Lomax(BL)乱流モデルは,上記流れのCFD計算に用いられた場合,船尾縦渦を過小評価し,実験との一致度に問題がある。そこで,その改良型である修正BL(MBL)モデルを用いた計算を行ったところ,船尾縦渦の強度が改善され,流体力についても実験との一致度が向上した。
(8) 砕氷抵抗に及ぼす船首形状の影響に関する研究(第二報 高速時の船体運動と砕氷抵抗の関わり)
鈴木礼人,上村 治,山口 ー,加藤洋治(東大),
泉山 耕(船舶技研)
砕氷船における高速時の速度上昇に伴う氷板破壊抵抗増加成分が,どのようにして生じるのか,速度上昇に伴う船体の上下運動の増加量に注目して考察した。高速時には,船首肩部で長く割れる砕氷庁ができると,回転速度の速い回転運動および,破壊後の氷板の振動を引き起こし,これが船体の上下運動と抵抗増加の原因となる。Spoon Bowは,船首水線角が大きく,水線面形状が丸いこととから,幅が広くて短い砕氷片ができ,水板との接触点における船体傾斜角が小さいことからその回転速度が遅いため,船速増加にともなう抵抗増加が小さい。
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