設計品質が決まり,材料や機械を用意して,作業方法を設定し,作業者を教育・訓練して作業を行っても,実際に製造された製品の品質は,決して均一的なものではなく,必ずバラツキがある。なかには不良品や手直し品もあり,設計品質どおりにはできない。
この設計品質をねらって製造した製品の実際の品質のことを製造品質,できばえの品質という。あるいはこのできばえが,どの程度設計品質と適合しているかという意味からの適合の品質ともいう。
(4) 品質水準
品質のよさの程度をいう。
工程や供給される多数の製品については,不良率,単位当たりの欠点数,平均,バラツキなどで表す。
(5) 管理とは
管理とはつぎのような手順で仕事を進めて行くことである。
1)まず問題がなんであるかを明らかにする。
2)その問題に関するあらゆる事実(データ)を把握する。
3)その事実に基づいて,問題解決の計画を立てる。
4)計画どおり実行する。
5)計画どおり実行されたかどうか,結果をチェックする。
6)チェックの結果,問題があればアクションする。
7)これを、plan-do-check-action system ということもある。
この様に,事実(あるいは社内標準化)に基づいてPDCAを繰り返して行うことを管理という。
また, このリサイクル活動のことをPDCA,あるいは管理の輪,管理の原則ともいい図4に示す。
2.7 品質管理の基本的考え方
品質管理を上手に進めてゆく際の,基本となる考え方は,別に新しくつくられたものではなく,昔から用いられている次の考え方を品質管理に適用したにすぎない。次に述べるこれらの原則は,品質管理だけでなく,生産・修繕にたずさわるすべての人が守るべきものである。そして各自が自分に与えられた責任と権限の範囲で,この原則に基づいて行動することが品質管理の基本である。