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6.7 船橋の窓

当初の段階では、窓については対象としていなかったが、調査を進めて行く過程で、窓についても着氷問題があることが判明した。

船橋の窓は、船の目として安全航行に確保せねばならない重要なポジションであり、そのため、窓の内の1〜2枚は回転窓を使用して視野の確保を図っている。しかし、回転窓も通常の雨やしぶきに対しては有効に働くものの、船体全体が凍りつくような環境下になると、この回転窓自信も凍りつきその役に立たなくなる。

そこで、最近は熱線入りのワイパー付きのものが使用されるようになったが、窓枠にはヒータが入っていないので全体が着氷しだすとつららのようになって視野を防いでしまう。この問題に対する解決策を検討する必要がある。

 

6.8 難着氷性素材

第1章で述べたごとく、着氷防止・除去の方法は構造物や部位、または環境によって異なるが、一般的には熱エネルギーによる方法、化学物質による方法、物理化学的方法、物理的方法が考えられる。現在、これらの方法は多かれ少なかれ実用されているが、それぞれに長所、短所がある。熱エネルギーによる方法では部位によっては莫大なエネルギーとコストが必要となり、化学物質による方法では性能の耐久性や環境の影響に問題がある。コーティング材料(難着氷性素材を含む)による方法は、材料の表面の性質によって機能を発揮させるため技術的に難しく、今までにも研究されてきたが満足すべき結果が得られていないのが実情であり、専門家の中には悲観的な見方をする者すらある。しかしながら、次にあげる利点からコーティングによる方法への期待は大きい。

?雪や氷の除去が容易となる。雪や氷は比重が小さいため自重による脱落が困難な場合が多いが、未塗装に比べてわずかな外力でも除去が可能である。

?比較的施工が容易であり、複雑な形状の被着体にも処理出来る。

?電熱などのエネルギーが不要、又は大幅に削減出来る。

?再コーティングが容易である。

ただし、次ぎのような制約もある。

?雪や氷の付着を完全に避けることは出来ない。

?ブリッジング現象や形状が複雑なことによる構造的な雪氷の固着は避けられない。

?膜厚に限界があり、損傷する。

?汚れや塗膜の劣化により耐久期間が限定される。

このような状況を踏まえた上で、コーティング材料(難着氷性素材を含む)を開発し、単独では満足な結果が得られなくても、他の方法と組み合わせることで目的を達成出来るようにすることが望まれる。

 

 

 

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