日本財団 図書館


また、トーチの揺動の右半周期と左半周期で溶接電流またはアーク電圧を比較すれば、溶接トーチの開先幅方向の位置ズレを検出することができる。図2.3にアークセンサによる開先ならい(X軸倣い)の原理を示す。(a)図に示すように、溶接トーチの狙い位置(揺動中心)が開先中心にある場合は溶接電流およびアーク電圧波形は揺動中心位置に対して左右対称となるが、例えば(b)図に示すようにトーチの狙い位置が右側にずれた場合は揺動の右半周期において、溶接電流は増加しアーク電圧は減少する。したがって、揺動の右側と左側で溶接電流またはアーク電圧が等しくなるように溶接トーチの位置を修正すれば、溶接トーチの狙い位置を常に開先中心に制御することができる。

 

069-1.gif

 

アークセンサによる開先倣い制御の性能(倣い精度と応答性)は、溶接トーチの揺動速度が速いほど向上する。図2.4は高速回転アーク溶接法においてアーク回転速度を変化させた時の溶接電流波形を比較したものであるが、回転速度が速いほど電流波形の振幅が大きくなり、開先形状を明瞭に示していることが分かる。

 

069-2.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION