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水産用の医薬品の種類

(1)抗菌剤

イ)サルファ剤 細菌感染症に対する化学療法剤として開発されたもので、餌料に混合しての投薬ができる。スルファモノメトキシン、スルフィソゾールなどがある。

ロ)抗生物質製剤 微生物が生産する物質から精製された医薬品で、他の病原体の発育を阻止したり殺滅する作用を有すが、人体に与える影響が危惧されており、欧州等での養殖現場ではほとんど使用されなくなった。塩酸オキシテトラサイクリン、アンピシリン、エンボン酸スピラマイシン、エリスロマイシンなどがある

ハ)フラン剤 ニトロフラン基をもつ合成抗菌剤の総称。薬浴剤として多く使用されてきたが、経口投与としても使われる。ニフルスチレン酸ナトリウムなどがある。

ニ)その他の合成抗菌剤 人工的に合成された物質で、抗菌作用をもつ製剤。サルファ剤や抗生物質に耐性となった病原菌による疾病の治療薬として用いられている。チアンフェニコール、オキソリン酸などがある。

(2)駆虫剤

養成魚の体表や鰓などに寄生する寄生虫の駆除を目的として、一部の魚種に対する使用が認められているが、浅海養殖魚には認められていない。

(3)栄養剤

ビタミン剤、酵母、胆汁沫などの飼料添加物。

(以上 浅海養殖9) 大成出版社1986より抜粋)

水産庁はブリ、マダイ、ウナギ、コイ、アユ、ニジマスの6種類の養殖魚に対して、医薬品使用基準を適用し、一日の最高使用限度や出荷前の投薬禁止期間を規定している。しかし、その遵守に対する監督体制が弱く、保証がないことが問題となっている。

 

なお、欧米ではワクチンによる発病予防が魚病対策の主流となっているが、日本においては、弱毒性ワクチンの使用は禁止されており、わずかにビブリオ病不活化ワクチンが市販されている程度である。魚類ワクチンの研究は1970年代から急速に開発が進み、現在世界で市販されている魚類のワクチンはビブリオ病用(2種)、レッドマウス病用、せっそう病用、IPNウイルス用の5種類となっている。

 

 

 

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