日本財団 図書館


3.2.5 養殖と餌飼料10)

養殖向けの食料には餌料と飼料がある。餌料には動植物プランクトンや小魚・イワシ類・イカナゴ・サンマ等の冷鮮魚、さらに蚕のサナギ、オキアミ、貝類がある。飼料とは魚貝類や動物のミールと植物蛋白を配合したものである。日本やアジアにおける水産養殖では餌料の割合が高いが、世界の趨勢としては飼料による養殖が中心となっている。飼料の主原料となる魚粉には、畜産用配合飼料の副原料、肥料原料、そして養魚用配合飼料としての用途がある。最近の魚粉生産量は年間600-700万トンであるが、全体の半分はペルーとチリによって占められている。世界の魚粉供給量の内、約17%(約100万トン)が養魚用に用いられており、飼料の魚粉含有率を平均30%弱とすると、養魚用の配合飼料の需要量は350万トンと推定される(S.バ-ロウ、I.パイク)。魚粉の供給量は比較的安定している一方、中国における畜産業の発展や欧米やチリでのサケ養殖の増大等によって魚粉需要量は増加傾向にあり、この需給バランスの崩れによって、1996年には世界的な飼料価格の改定が起こっている。

063-1.gif

日本は1980年代までは豊富なマイワシ資源に支えられて、年間20万トン前後を輸出する魚粉輸出国であったが、近年のマイワシの急減と需要の増大により、今日では年間30万トンを超える輸入国となった。なかでも、1995年はマイワシの減少もあって60万トンに近いものが輸入された。

063-2.gif

日本の養魚における餌料と飼料の割合を見ると、まだまだ餌料の比率が高いが、これからは飼料への転換が急速に進むことになろう。その理由として、まず生餌の価格アップがある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION