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モータの定格出力は11kWであるため、上記集計にあるモータの出力約3.3kWでは約7.7kWの余力を残していることになる。(したがって、1ランク下の発電機およびポンプを導入することも検討することができる。)

 

海水温度が20℃を超えるまでは、インバータ周波数、モータ出力とも安定しており、清水クーラ温調弁の開度によって海水温度の変化に対応している。海水温度が20℃を超えるあたりからインバータ周波数が変化しており、インバータ制御に効果がみられる。したがって、海水温度に対する周波数の設定を細かくすれば、さらに効率的になるものと推察される。

夏季の海水温度が高い状況も考慮すると年間を通して4〜5kW以上の効果が期待できる。

 

この他、冷却海水ポンプモジュールにインバータを採用した結果以下に示す効果が認められた。

 

?出入港時には船首部係船機・揚錨機の油圧ユニットの冷却海水が必要になる。また、錨鎖の泥を洗浄するための海水が必要となる。このとき、在来船では専用の海水ポンプを起動するか消防兼雑用水ポンプを起動することになるが、内航近代化実証船では上記作業に必要な海水も冷却海水ポンプが担当しているので、インバータの周波数設定値を上げて、ポンプ出力を増加させるだけで済む。弁切替え等の作業が無くなり、運航員の負担が軽減されたとともに、作業時間の短縮が図られた。

 

?インバータ制御では、ポンプは定格回転数(60Hzで1750rpm)以下で運転されている。このため、ストレーナの目詰まりが減少している。同様に熱交換器やストレーナ内部に堆積する砂泥の量も低下していた。

 

(2) 冷却海水・冷却清水・バラスト各ポンプモジュール/メカニカルシールの効果

冷却海水・冷却清水・バラスト各ポンプモジュールは全てメカニカルシールを採用しており、平成9年2月からの一年間に渡る運転にもかかわらず軸部からのドレン発生が皆無であった。

結果、機関室ビルジタンクにはドレンが溜まることなく、また、他の機器についても船主および造船所により漏油・漏水対策がとられているため、ビルジが発生せず、油水分離器は就航以来一度も使用されていない。

 

(3) 冷却海水・冷却清水各ポンプモジュール/操作性

機関室内における冷却海・冷却清水ポンプモジュールの運転状態の監視や、操作はモジュール前面のみで把握することができ、機関室内の見回りが容易になった。

 

(4)機関室機器モジュールについて実証試験中に確認できていない項目

冷却海水・バラスト各ポンプモジュールにポリエチレンライニング管およびエチレンプロピレンダイモノマライニング弁(EPDM弁)を採用したが、解放点検していないためその効果については未確認である。

また、海水ラインのポンプケーシングに耐腐食性向上のためBC材を採用したが、ケーシングが未解放であるため、その効果については未確認である。

 

 

 

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