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3-5 ジャボタベック鉄道の問題点

 

3-5-1 鉄道施設の問題点

 

(a) 軌道

 

現在、ボゴール線は複線運転されており、ジャボタベック鉄道では最も多くの通勤列車の運行をしているのもかかわらず、ラッシュ時には乗車率が240%と満員状態である。

ベカシ線はチカンペックまで複線化されているが、ボゴール線とは違い中・長距離列車の運行が非常に多く、この区間を運行しているコミュータトレインと競合している。よって、このベカシ線のコミュータトレインは中・長距離列車の合間に運行しているに過ぎず、コミュータ需要の必要性は判っていながら、現状は列車の運行不足の状態である。

セルボン線沿線は最近、活発な都市開発が推進中であり、この地域の人口が急増している。これに伴い、スマトラ島との経済交流も盛んになってきており、スマトラ島の玄関口であるメラクヘの長距離列車の需要が高まっている。セルボン駅までの複線化計画が望まれてはいるが、具体化はしておらず、むしろ、この単線鉄道に近接して民間資金によるトリプルデッカー新線計画が急速に進展している状況である。よって、この新線計画を念頭にジャカルタ首都圏鉄道の計画を検討する必要がある。

タンゲラン線は現在、単線で1列車のシャトル運転しているに過ぎず、軌道の状態も良くない。朝夕には、併行している国道の交通渋滞が甚だしいので、この区間の鉄道への潜在需要は高いものと推定できるが、列車本数の少なさ、駅へのアクセスの劣悪なことを変えない限り、鉄道へのシフトはないものと思われる。

 

(b) 駅設備

 

ベカシ線、中央線およびボゴール線の駅の一部は、すでに高床式ホームに改善されているが、まだ低床式ホームも多々あるので乗降客へのサービスが劣悪である。

現在タンゲラン駅などで高床式ホームにすべく工事中のところもあるが、抜本的な駅改良計画で実施していないので、急激な乗降客の増加は望めないような小工事を行っているのが実情である。よって、手戻りにならないような長期的な計画に基づいて、配線変更、駅前広場、道路からのアクセス、等を考慮した施工計画が望まれるべきである。

たとえば、現在工事中のジャティネガラ駅は、長距離列車の停車駅であることから

 

 

 

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