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1. 調査概要

 

1-1 調査の目的と背景

 

(1) 調査の目的

 

本調査は、社団法人・海外運輸協力協会の平成9年度運輸インフラ近代化事業の記念すべき第一回目として実施された調査であり、運輸プロジェクトの発掘・促進調査の一環として、インドネシア共和国・ジャカルタ首都圏の中で特にジャボタベック鉄道における複々線化鉄道計画に関する調査を行い、実現可能性の検討を行ったものである。

 

(2) 調査の背景

 

インドネシアの経済発展は近年、著しく成長しており、特にジャカルタ地域における人口集中、産業の発展などは目を見張るものである。さらにジャカルタ東部および西部地区での工業団地、住宅団地の造成による都市化は年々拡大している。

このように、ジャカルタ地域の拡大化の増加化に伴い、交通需要が飛躍的に伸びてきており、特に道路交通量は急激な伸びを見せており、道路上での交通渋滞が市内いたるところで慢性的に発生している。

 

一方、鉄道輸送は現在、西線の拠点駅であるタナアバン駅、東線のパサールセネン駅、中央線のマンガライ駅、ベカシ線沿いのジャティネガラ駅などの主要4駅の改良工事を行っており、さらにこれらの内、東西線の自動信号化工事も並行して行っている。このように、現在鉄道改良プログラムが続行中とはいえ、ジャボタベック圏での鉄道の旅客数も中央線(含むボゴール線)を中心に確実に増大している。

さらに、将来のジャボタベック首都圏における鉄道輸送のための改善プロジェクト案としては、ジャカルタ地下鉄計画、マンガライ駅立体交差化計画、マンガライ車両基地整備計画、ジャカルタコタ新駅計画などがあり、通勤電車と長距離列車の分離計画と併せて検討されている。

 

このような背景のもとに、1996年12月に社団法人・海外運輸協力協会(以下:JTCA)による案件形成事業の調査で、このような問題を解決すべく現地調査を実施した。この調査では、特にジャカルタ東部地区(ベカシ、チカラン、力ラワン地区)を重点的に現地調査を行い、次の2路線の絞り込みの提言を行った。

(1)タナアバン〜チカラン間の複々線化計画(L=40km)

(2)タンジュンプリオク〜チカラン間の新線計画(L=34km)

 

 

 

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