日本財団 図書館


?. ヴィエトナム運輸インフラ整備セミナーの成果

 

1.今回のヴィエトナム運輸インフラ整備セミナー開催事業の特徴は次のとおりである。

?日本財団のご支援をいただき、政府ODAになじまない事業である運輸全般に亘るセミナーを開催できたこと。

?計画経済から市場経済に移行つつあるヴィエトナムで、運輸を総合的にとらえハードインフラの遅れ、ソフト制度面の整備、今後の整備の在り方について初めてセミナーを行ったこと。

?日本の失敗を含めた経験の紹介により、整備の効率的な方向性を実践的に示した。

?ヴィエトナムが自国にあった整備手法方策を見出す努力への端初となる機会を提供したこと。

?運輸関係を中心として広く各分野のヴィエトナムの政府関係者が参加したこと。

?特定の運輸分野に偏らず、総合的に紹介したセミナーは他の運輸関係公益法人では出来ないセミナーであること。

 

2.さらに、セミナーの開催の成果として以下を挙げることができる。

?今までの運輸分野のセミナーは特定の分野毎に行われてきたが、ヴィエトナム側の要望もあって運輸の各分野の専門家が一堂に会した場で、日本の各分野の経験を紹介し、総合的なプレゼンテーションを実現できたこと。

?今まで途上国に対する支援は、目に見えるハードの構築物整備が中心であったが、制度、人材育成等のすぐに成果が出ず目に見えないソフト面の取り組みも重要であることを理解してもらえたこと。

?ヴィエトナム運輸省の政策立案シンクタンクをめざしているTDSI(運輸開発戦略研究所)とJTCA(海外運輸協力協会)はお互いの信頼関係を築き、後のヴィエトナム運輸分野の支援を進めやすくなったこと

?TDSIが、ヴィエトナム国内の運輸インフラ整備をインドシナ3国を含む南アジアの運輸インフラ整備と関連づけて考えるようになったことは、物流の国際性についてヴィエトナム側の理解が進んだことを示すとともに、今後の多国間協力の糸口となること。

 

3.今回のセミナーの開催の結果、ヴィエトナムの運輸インフラ整備に対する支援として検討すべき今後の課題は以下の通りである。

?中央政府が集中しているハノイでのセミナーを主としたセミナーであったが、諸外国のODAはホーチミンを中心とする南部地域に多くが入り込み数多くのプロジェクトを提案しているが、整合性がとれていない。とくにホーチミンを中心とする運輸インフラ整備には解決の容易ではない問題が多い。これに対する支援の進め方。

?ヴィエトナムは高速道路等のハード面の整備に関心が強いが、やはり運輸インフラへの供給側(利用)であるソフトの物流システム(サービス提供面)の整備も重要な課題である。これは今までヴィエトナム側が未経験であり、その需要も小さいことから問題に対する認識が不十分であるが、物流整備無くして工業化・近代化はあり得ないことを今後とも強調することが必要。また、そのための物流の実務専門家の育成が緊急かつ重要なテーマ。

?今後はメコン川流域の運輸インフラ整備を、内陸水運の整備とともに他のモードとの連結を考慮した運輸インフラ整備の発展として取り組む必要がある。

?ヴィエトナムは、現在運輸インフラ整備のM/P作りに力を入れているが、仮に優れたM/Pができても、それに従って具体的なプロジェクトの整備を進めていくための人材が乏しいように見られ、こうした面での協力も検討課題。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION