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3. セッション2「ホーチミン市都市交通開発戦略」

ヴィエトナム運輸開発戦略研究所 レ・クア南支局長

 

私は、ホーチミン市の交通システムについての基本的な方向性について発表します。

ホーチミン市はヴィエトナムで大都市です。ホーチミン市の面積は2,056平方キロメートル。1995年の統計では、人口は481万2,000人。そのほか、年間約100万人の人々が行き来をしています。したがって、現在ホーチミン市の都市交通問題は非常に緊急な対策を要しています。なぜ人口が集中したかと言うと、ホーチミン市に以下のようにいろいろなメリットがあるからです。

ホーチミン市は多機能なセンターです。センターと言うのは、経済的にも、文化的にも、金融的にも、サービス面についてもヴィエトナム南部及び全国的なレベルでのセンターであることを意味します。各分野ついて、政治ではハノイが上ですが、ほかの分野はホーチミン市のほうがすべて上です。次にホーチミンの交通の特徴について、申し上げます。

ホーチミン市は、南の地区、ヴィエトナム全国、またアジア、そして世界の交流のセンターであり、交通の要衝になっています。ホーチミン市の人口は、ヴィエトナムの中で最大です。人口増加率は毎年3%で増加、成長しています。したがって、市街地に過度に集中しています。ホーチミン市には12区、そのほかに新しく5区ができております。タン・ソン・ニュット国際空港はホーチミン市内の奥に位置しています。

市内の旅客数、貨物数、特に貨物数が大変多くなっていますが、都市交通と都市外交通、対外交通がはっきりと分かれておりません。ホーチミン市の現在の交通は、以下のように分類することができます。

ヴィエトナム国有鉄道が中心フォアフォンに入っています。それから、河川を利用した水上運送、ヴィエトナムでの最大の海運交通があります。また、市内の中心地からタン・ソン・ニュット国際空港までは6キロメートルです。現在の旅客数は750万人。このホーチミン市の交通要衝を通る旅客数、また貨物数とも増えています。旅客輸送は、道路が91%を占め、また貨物輸送は水上運送が大部分を占め、73.5%です。ホーチミン市の橋梁、道路体系の対応能力は、通行車両量、または人数の増加率に比べてかなり開きがあります。現在、推計でバイクは100万台、自転車は50万台です。この車両が、ラッシュアワー時に市街地で交通渋滞に拍車をかけています。市街地の総面積に占める道路面積が非常に少ないです。私たちの推計では5.5%、それに対し基準は25%ないし30%です。工業と小規模手工業の工場が住宅地に点在しています。4分の3以上の工場が旧市街に集中しています。したがって、現有の道路網の混乱、過積載を制限するための道路体系の研究調査に困難を来しています。

鉄道は1本で、公共交通としての役割は果たしていません。市街地の人口の多い住宅地の中で、線路と駅が道路と交差しています。タン・ソン・ニュット空港から市内までの路線が高速輸送の需要に対応しておらず、現在も年間300万人ほどの旅客が滞っています。

ホーチミン市内は、幹線道路から自然発生した細街路が入り混じり、それが折れ曲がって幹線道及び地域道と交差し、幹線道路の車両通行能力を著しく引き下げています。市に出入りするゲートウエイルートは量、大きさともに不足しています。2,000になる交通ジャンクションが交通渋滞、ほとんどがそこに車がたまっている状態です。市内の道路幅が狭くなっている部分で渋滞が発生しています。信号、標識が不足、老朽化しています。公共交通の開発が遅く、問題が多く残っています。20年間で、公共交通は5%しか発達していません。したがって、市街地を通行する95%は軽車両、個人車両です。近代的都市の交通運輸基準とされる50%ないし60%という部分に課題があります。

ホーチミン市の交通問題の基本的な問題についてお話ししましたが、次に現在どのように対策が進んでいるかについてお話しします。

ホーチミン市の都市計画は、91年につくられた総合計画がありますが、経済発展に伴い、それを修正する必要が出てきました。その中にはもちろん、交通運輸の分野も含まれています。

その中で主なものといいますと、市内の人口を減らすこと。1人当たりの交通用地面積指標を増やすこと、また1平米当たりの交通用地面積を増やすこと。自然発生したスラム街を整備し、労働者居住区の曲がりくねった道などを整備、幹線道路と地域細街路が不自然に交わらないように留意しながら、幹線道路の車両通行能力を増やす。12区あるホーチミン市の旧市街で、交通密度、特に1人当たりの面積指標を第1種都市建設基準に従って、最低50%ないし60%にまで引き上げる。市街地に入る鉄

 

 

 

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