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輸分野のインフラストラクチャーに対する投資額は、そのころのGDPの0.6%から現在では1.8%にまでそのシェアを伸ばしています。その結果、インフラストラクチャーの劣化を止めることができました。また、多くの重要な設備がグレードアップ、もしくは新たに改良されることになりました。また、交通輸送分野に関しては政府が多くのセクターにこの分野の参入を許可しました。輸送需要も徐々にですが、満たされております。

しかしながら、客観的な評価を加えますと、ヴィエトナムの運輸インフラストラクチャーはまだまだ立ちおくれた状態にあると言わざるを得ません。道路は規模が極めて小さく、1車線ないし2車線の道路がメーンです。技術的な水準も低く、全体の30%ほどしか舗装道路はありません。また、道路の上を水が流れている部分があり、そこに橋をかけることが整っておりません。例えば国道という名前がついている道路にしても、ヨーロッパの農村の道路と比べても技術的な水準が劣っているところがあります。

また、河川網は、全体の総延長の15%ほどしか開発されていません。それも主に自然条件の有利なところだけに限られています。河川網の体系は立ち遅れています。

ヴィエトナムの鉄道は20世紀初頭に作られました。しかし技術水準が年々低下し、そのために走行速度が制限されています。特に信号、情報伝達システムが遅れているのが目立ちます。

また、海運は、港がほとんど60年代、70年代に作られたものです。荷役設備などは時代から遅れたものです。そのキャパシティーは、アジア諸国に比べて40%ないし45%しかありません。また、都市交通は現在、渋滞などが発生していますが、具体的な解決策は見出されていません。

また、農村交通はまだまだ原始的な域を抜けていません。

ヴィエトナムの経済発展を目指す20世紀の間に、ヴィエトナムの交通運輸分野は自らこのような立ち遅れをリハビリするとともに、近代化、工業化も進めていかなければなりません。このことはヴィエトナム運輸インフラ政策戦略を策定する人間にとって、大変困難な問題です。今後の運輸インフラ政策、運輸インフラ建設の方向性は、近代的でバランスがとれ、すべてのモードが足並みを揃えて、すべてが連結した形での全モードでの発展を目指しています。すべての運輸手段、運輸モードが繋がったものになるのが理想的だと考えています。運輸手段、交通手段もドイモイしなければなりません。そのため以下の5つの目標を遂げることが最重要です。

1つ目には、運輸コストを最低限に引き下げることです。2つ目は、世界の最新の運輸技術を採用することです。特に他モードでの最新技術を採用することが重要です。3つ目は、交通運輸の分野における安全を確保することです。4つ目は、アジア各国における交通運輸開発の指標と同程度のレベルに引き上げることです。最後に、生態系、環境保全に努めて交通運輸インフラを開発していくということが目標です。この5つの目標に向かって、運輸分野はそれぞれのモードが自らの責任を果たし、その目標を達成していくことになります。

ヴィエトナムは、特に遠洋のルートについて、将来ヴィエトナムの経済に大きな成果をもたらしてくれるという希望的観測に立っています。現在、ヴィエトナムの船舶は大体1万トンが限度です。平均では2,000トンです。また、輸出入の分野に参入している割合は1割、10%ほどです。2010年までの私たちの目標は、近代的で合理的な機構を整備し、また平均耐用年数が10年までの輸出入貨物量30%を輸送できる国際的な水準の船舶をつくることです。鉄道は、ヴィエトナムは今後も長距離の貨物及び旅客輸送、特に南北間の輸送に力を入れます。そして道路のほうは逆に短距離、特にドア・ツー・ドアの輸送を目指せるような整備を方向性とします。内陸河川は主にメコンデルタと紅河デル夕に集中しています。私たちの方向性は、内陸河川輸送についてもさらに高速化を目指すことです。

今から20年ほど前、私たちは日本では考たことがないような手段を持っていました。それは河川海運輪、内陸河川―海ルートです。これはヴィエトナムの地理的な条件を有効に生かしています。ヴィエトナムは南北にわたって河川が多くあります。そして南北での物資間の格差もありました。そして物資を輸送する需要もありました。例えばお米、南部ではお米が余っておりましたが、北部ではお米が足りませんでしたし、その逆に肥料や化学品、また建設資材などは北部にありましたが、南部に運ばなければなりませんでした。現在では生産分配というのは比較的、合理的に全国に配置されているので、昔あった輸送形式は今はもうなくなってしまいました。

次にインフラストラクチャーの開発の方向性についてお話しします。これが一番大切な話しです。

ヴィエトナムは、南北の貫通軸の上に3つないし4つの交通モードが重なり合って存在しています。方向性は、先ほどからお話ししているとおりです。問題は、その方向性にどのように見合うインフラストラクチャーを建設していくかということになります。一番重要なのは南北幹線です。道路は、国道1号線が一番北のランソンからおよそ30省を通って南のカマウにまで達しています。この交通軸は西暦2000年までにレベル3までグレードーアップする予定です。このレベル3は、道路の土台が12メートル、表面が9ないし10メートルの幅で、多くの場合2車線になります。大きな都市、例えばハノイ、ホーチミン、またほかの比較的大きな都市では、この幅を4ないし6車線に広げます。また、首都ハノイなどの交通渋滞が予想されるところを避けるために、カウゼイから90メートルほどの道路をつくります。この国道1号線に平行して南北貫通道をつくります。この貫通道は、この1年間、ヴィエトナムで幾度となく話し合いをされました。この南北貫通道は、総延長およそ1,800キロメートルでホアランから国道15号線、14号線、13号線を通ってホーチミンまで達します。

 

 

 

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