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8. セッション7「ヴィエトナム運輸開発戦略」

ヴィエトナム運輸開発戦略研究所 ファン・タイン・ビン戦略開発部長

 

バウ所長:ヴィエトナムの2020年までの運輸インフラ開発戦略はとても重要な戦略です。この問題は、日本国運輸省及び日本国政府からもヴィエトナムに対し、大きな関心を抱かれているということから、2000年までの戦略の研究策定についてご援助をいただいています。これまでに私ども研究所、TDSIもこの戦略についての研究を進めてきています。本日は、TDSI戦略室長のサンタイン・ビンより、2020年までのヴィエトナム運輸開発戦略方向について大まかな話をします。

 

ビン部長:この2日間、日本の講師の先生方から大変ためになり、興味深いお話を聞くことができました。その中で、私たちはアジアの地域、特に日本の経験や実際の開発を通した内容を聞くことができました。ここで私たちはヴィエトナムの問題に立ち戻ります。私たち研究班を代表して、ヴィエトナムの戦略について大まかなラインをご紹介します。運輸政策、運輸開発戦略について申し上げます。この方向性は既にあります。これは2020年までのヴィエトナム国家経済成長戦略の中に位置づけられています。2020年までの期間、ヴィエトナムは工業化、近代化を目指して努力を続け、基本的には工業国家になることを目標としています。ヴィエトナムの交通網は既に十分発達したネットワークがあります。鉄道、河川、海運、航空、そしてパイプラインです。ヴィエトナムの道路網は比較的合理的に張りめぐらされています。アジア各国と比べても平均的な道路密度を保っています。また、河川の交通網は、紅河デル夕及びメコンデルタに集中しています。ヴィエトナムは世界でも5本の指に入る河川網の密度の濃い国です。ヴィエトナムには3,200キロメートルの海岸線があります。船舶が立ち寄ることができる港の数はおよそ100になります。

今から20年ほど前、ヴィエトナム戦争が終結したときからアメリカのヴィエトナムに対する禁輸政策が始まりました。そのころからヴィエトナムの経済は恐慌の状態に陥り始めました。その中に運輸分野も含まれ、そのころから遅々とした発展を続けて来るにすぎませんでした。インフラストラクチャーは老朽化し、劣化しました。輸送は滞りました。ヴィエトナムの各港は、荷物、貨物をそこに置いておくだけの倉庫となってしまいました。旅客運送は、多くの人たちが行列を作るようになってしまいました。たった300キロ、400キロの距離を帰るのに二、三日の日数がかかることがありました。

今から10年前、1988年にヴィエトナムは全面的な改革、ドイモイ政策を始めました。運輸インフラストラクチャーはその正しい評価を得られる時が来ました。運

 

 

 

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