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和が重要になります。

こうした目的、目標、開発の方法は、お互いに非常に依存関係があります。これらの政策をどのようにミックスしていくかで、要するにポリシーのバランスの問題です。今日の発表は、工業化の過程と交通の役割について、日本とタイの経験に基づいて説明します。

表-1は3つの国の比較です。ヴィエトナムとタイと日本を比較しますと、面積は大体同じ程度です。人口はこれより現在は少し増えていますが、比較しやすいほど近いです。しかし、GDP(Gross Domestic Product)、国内総生産は大きく違います。ただ、日本やタイは物価が高いため、PPP(Purchasing Power Parity)、購買力平価で比較する必要があります。PPPベースのGDPは、1996年において、ヴィエトナムは1,310USドル、タイは8,165USドル、日本は2万USドル以上になっています。

次にPPPを考えない名目的な一人当たりのGDP(USドル)です。下の数字は、1989年、すなわち7年前のヴィエトナムとタイと日本を比較したものです。7年間でヴィエトナムは2.1倍にGDPが上昇し、タイは3倍、日本は1.5倍です。ただ、GDPの伸び率はヴィエトナムでは1996年、去年ですが9.5%、タイが6.4%、日本はマイナスです。この9.5%は、1989年のタイと似た数値です。

現在のCPI(Consumer Price Index)、消費者物価指数は、現在インフレーションはヴィエトナムが3.6%、タイが7.2%、日本が2.4%です。データソースは『Asia Week』の98年11月の数値です。1989年当時は、ヴィエトナムは800%というハイパーインフレーションに襲われましたが、今は落ち着いてきています。

次は、輸出額です。まだ少ないですがヴィエトナムはこの7年間で実に11倍の80億USドルになりました。その間タイは3.5倍、日本はわずか1.6倍です。国際収支は96年、マイナスですが、タイと比べても随分小さな国際収支のマイナスです。経済開発の最も重要な指標として、教育水準、識字率があります。ヴィエトナムは91.9%、タイが94%ですが、非常に高い識字率でアジア各国の中では非常に高い識字率となっています。

ここで、日本の開発の歴史を考えてみます。日本の1960年の経済状況は、現在のヴィエトナムの状況と非常に似ています。日本の経済は1960年から約6倍に成長しました。表-2に示します。まず農業は、1960年当時、日本の農業生産は産業全体の12.2%でした。ヴィエトナムは47%程度ですが、日本にとって12.2%は非常に高かった。1960年から1995年まで、農業生産量は967億USドルから963億USドルとほとんど変わっていません。日本の経済が7億USドルから、4兆6,100USドルに変わったために、農業の割合が2.1%に急激に落ちました。

 

 

 

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