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5. セッション4「工業化のための物流の役割」

東北大学 工学部  稲村肇教授

 

最初に結論を説明します。

第1番目は、ヴィエトナム政府は、国のバランスある発展を大きな目標に掲げて政策を進めています。効率的な工業開発、製造業の開発とか、ASEANの各国、他の国と競争していくためには、交通施設の開発は開発されている地域に集中すべきだと考えています。すなわち、ヴィエトナムでいうと、ハノイ、ハイフォン、ホーチミン、あるいはその周りの地域に開発投資を集中すべきです。先ほど鉄道の話もありましたが、港湾と道路の開発が、最も工業開発にとって緊急ではないかと考えています。

2番目は、やはり環境の問題、環境保護が21世紀において非常に重要な問題となってきます。これについては、日本の失敗の例を後ほど説明します。

最後は、世界中すべての国の政府は、資本の流動化の問題に対して十分注意を払うべきです。特に今年の通貨危機を考えると、これが大変重要であるということを説明します。

それでは本題に入ります。まず、工業化の目的ですが、ヴィエトナムがどのように工業化すべきかは、ここでは論じません。工業化の目的は、一般に一つは所得水準の上昇、次には雇用の、職業機会の改良、次には外貨を得るという大きな三つの目的があります。

次に具体的な目標は、次の五つあると考えています。

第1は、輸入代替です。外貨を節約するために現在輸入しているものを国内で生産して代替していくことが、第1の目標です。2番目はネイティブインダストリーの振興です。ヴィェトナムの地場産業、昔からある産業、例えば、農業とか、漁業か、こういうのをさらに開発していくことが2番目の目標です。3番目は、比較優位産業の振興です。ヴィエトナムではオイルが採れるし、また人件費の安いことで繊維産業とか、アッセンブリーとか、そういう比較優位産業の開発が3番目の目標です。4番目はOne-Setの工業開発と言って、関連産業をあまり必要としない、一つのセットになる産業開発が4番目の目標です。5番目は、より多くの外国企業を招くといいますか、立地させていくというのが5番目の具体的な目標です。

次にどうやってそれを実現していくかという、ハウツーの問題があります。それは次の4つになると考えています。

1番目は、工業用地の開発です。2番目は今回のテーマで最も重要な交通施設の改良。道路とか港湾、鉄道、空港、こうしたものの開発、改良が重要です。3番目はFTZという言葉を使いますが、自由貿易地域といった特別な開発地域の開発です。4番目は税制の改革、特に輸出を推進するための強制的な義務づけ、こういうものの緩

 

 

 

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