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RTCAのさらなる解析ではLOC、VOR、G/Sについて干渉波がCWの場合には特に問題とはならないが、振幅変調された干渉波の場合には計器の指示に誤差が生じ得るとしている。ただしその可能性は非常に低いとしている。表-7の結果からは安全マージンが大きくマイナスになったシステムはなかったため更なる解析は行っていない。解析手法についてはRTCA/DO-233に詳しく述べられているので、必用に応じて参照できる。

平成8年度、9年度の測定結果からは携帯用電子機器が航空機システムに磯実に影響を与えるという確証を得るまでには至っていない。但し、RTCA/DO-233に記載されている研究結果を含み考えると、以下の結論とせざるを得ない。

(1) 一般携帯用電子機器による干渉の可能性

携帯用電子機器が航空機システムに及ぼす影響については、その可能性は極めて低いものの実際にスイッチをオン・オフして確認された等の事例報告もあることから、有り得ると考えるべきである。

 

万一、一般携帯用電子機器が航空機システムに影響を与えた場合、特に離着陸時などでは安全上重大な影響がある。表-7からも離着陸時に使用するLOC、G/S、VORなどは若干ながらも安全マージンがマイナスになっており、またRTCA/DO-233では更に大きなマイナス値となっている。

 

従って、離着陸時の一般携帯用電子機器の使用は原則として禁止すべきである。

(2) 電波を発する携帯用電子機器の干渉の可能性

携帯電話を始めとして電波を出す機器については、その周波数が直接機体システムに影響を与える可能性は少ないものの、電波放射レベルはRTCA/DO-160の許容漏えいレベルを超えることから機体システムに影響を与える可能性が全く無いとは言えず、現状では常時使用禁止とせざるを得ないと考える。

(3) 今後の調査・研究

携帯用電子機器が航空機システムに与える影響について、そのメカニズムにはまだまだ未知の部分が多い。また技術の進歩に伴い市場には続々と新製品が送り出されている。従って、米国を中心とした研究のモニターや事例収集活動をすると共に、実運航中の客室内の電磁環境についての測定データが乏しいことから将来的には機内EMIレベルの把握を行い、さらにEMI検出器などの開発・検討を行うことが望ましい。

 

 

 

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