日本財団 図書館


地域の一員として認められることをめざして、ゴミ集積所の当番や雑草除去作業などといった住民としての義務を果たすだけでなく、少しでも地域の人たちとの接触の機会を増やそうと考え、特定の目的で外出するだけでなく、散歩などとにかく外に出る機会を多くしています。重度の男性と早朝一緒にジョギングして下さっている男性とは、散歩の際、彼がジョギングしている時に出会いました。訳を話して一緒に走ることをお願いし、快く受けて下さって以来のジョギングボランティアが続いています。現在その方の仕事の都合で一時中断していますが、いまだにその方の住所や仕事を知らないままのおつき合いが続いています。農協前で開かれる青空市で漬け物を売るおばさんは、住人と親しくなり、ちょくちょくグループホームに立ち寄る1人になっています。

通勤にもこの配慮が働いています。一般就労の女性は会社が送迎しています。「ひかりのさとファーム」に勤務する人のうち、1名は車椅子を利用しているため、ボランティアとファーム職員が送迎していますが、残りの2名は2?q以上の道を徒歩で通勤しています。「ひかりのさとファーム」からの徒歩通勤圏外にある他のグループホームでは、駅近くに集合場所を設けてそこまでの送迎としています。ドアツードアの送迎とは異なり、そのような工夫により、自然に地域の人たちとふれあう機会が増えていきます。

また「戸田ホーム」は、グループホームの新聞を発行し、回覧板にのせるかたちで近隣の約100軒の家をまわります。散歩の時に知らない方から「メリーちゃん(犬の名前)元気?」と声をかけられたりします。そのときは「ここにも新聞を読んで下さっている方がいるんだな」と勇気づけられるそうです。

 

6. 一人ひとりの地域生活の豊かさを目指して

 

地域の社会資源や店舗の積極的な活用も努力してきたことの一つです。前者としては、図書館・老人憩いの家(そのなかで陶芸教室が開かれています)・公園・ゲートボール場・神社ほか。利用の形態は全員の場合と個人の場合の両方があります。また地域の行事(お祭りなど)には全員で参加しています。医療にかかる場合も、専門治療を必要とする重複障害の男性をのぞき、他のメンバーは地域の診療所を利用しています。また日常の買い物などでも、極力世話人やボランティアがつかず1人で行けるように配慮しています。1人で行ける自信、1人で買い物できる自由さは、豊かさに強くつながる要素となっています。

 

 

 

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