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これら地域住居の援助は、一人ひとりの能力やニーズに合わせて4タイプの形態をとっています。

 

?@障害が重く、身の回りのことも十分にできない人は、世話人同居の共同住居で生活し、手厚い援助を受ける。

 

?Aある程度の身の回りのことは自分でできるが、掃除や洗濯が苦手な人は、食事作りも含めて朝2時間、夕方4時間合わせて6時間の世話人の援助付き共同住居で生活する。

 

?B日常の身辺処理は自分ででき、簡単な食事なら自分で作れる人は、夕方の2〜3時間程度世話人の援助を受け、夕食作りと朝食の下ごしらえをしてもらって、後は自分達の力で生活する。

 

?C苦手な金銭管理、困ったときにいつでも相談できる体制があれば、後は特に日常的な援助がなくても暮らせる人は、単独でアパートに生活する。

 

知的障害をもつ人のそれぞれのニーズと援助の関係は決して一様ではありません。私達は支援にあたって、常に「最大の自力・最小の援助」をモットーにしています。不必要な手出しや過剰な保護は、時と場合によっては自立への可能性を阻むことになるからです。

 

3. グループホーム等地域共同住居はなぜ発展したか

 

このように、伊達市では施設から出て町のグループホームなど地域住居で暮らす人達が大幅に増加してきていますが、その理由と成果については、主として次の3点をあげることができるかと思います。

第一に、町の中に暮らすことができます。多くの人達が集まって生活したり働いたりする入所施設は、広い土地や大きな建物・設備が必要であるため、郊外や人里離れた山の中につくられがちです。しかし4〜5人で生活するグループホームのような共同住居は、特別な土地や建物が必要でないため市街地につくることができ、また一般市民と隣り合わせで暮らすことができます。

第二に、生活形態を普通の暮しに近づけることができます。施設は集団生活であることから、どうしても管理的側面が強くなり、一般社会とかけ離れたものになってしまいがちです。しかしグループホームなどの共同住居は少人数の生活の場であり、普通の市民の生活様式に近づけることができます。

第三に、開設が容易で多様な住居を作ることができます。施設は特別な環境と多くのスタッフを必要とします。しかしグループホーム等の共同住居は、地域の社会資源を活用することによって容易に開設することができ、さらに入居者のニーズに合わせて多様な援助形態を作ることができます。

 

4. 施設からの旅立ち

―障害の重い人達のグループホーム「オリーブ」の開設―

 

知的障害をもつ人達の生活形態は、単身でアパートで生活する人、共同でグループホームに生活する人、結婚してカップルで暮らす人など、本人の能力や希望に合わせてさまざまですが、中でも最も多いのがグループホームでの生活です。

現在、伊達市には、国の制度のグループホーム9ヶ所、北海道の制度の生活寮6ヶ所、無認可のケア付ホーム12ヶ所、民間下宿4ヶ所、合わせて31ヶ所の共同住居があります。これらのグループホームは、総合援護施設「北海道立太陽の園」と伊達市立通勤センター「旭寮」がバックアップ施設となり、継続的に支援しています。この中でもっとも新しく開設されたのがグループホーム「オリーブ」です。

平成9(1997)年3月、太陽の園体育館で恒例の退園式が行われました。その年の退園者は11名ですが、この中に施設の在所年数が20年を越える4人の女性がいました。

 

 

 

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