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出演者交歓の夕べ

この夜、松江市内のホテルで、フェスティバル出演団体の代表者ほか二百余名による「出演者交歓の夕べ」が催されました。主催者側から澄田知事が歓迎の謝辞を述べられたあと、歓迎公演に移り、宅野こども神楽と埼田神社音獅子舞の演技が披露されました。懇談のあいだ、高円宮憲仁殿下が地域伝統芸能大賞受賞者、谷汲踊の竹中義雄氏(九四歳)に、保存会育成四十五年の労苦へのねぎらいのお言葉を掛けられるなど、終始和やかな雰囲気の交歓会となりました。出演者のあいだでは、保存会後継者の育成、演技の向上、上演の楽しみ等々、日頃の積もる話しに花が咲きました。

地域伝統芸能公演

二日目、三日目も全国から選抜された、沖縄の琉球舞踊をはじめ、群馬の西中之条獅子舞などの伝統芸能十団体と地元島根の二団体が、それぞれの地域に伝わる個性豊かな伝統芸能を披露し、観客から盛んな声援を浴びました。年少組の参加も多く、特に今治の継ぎ獅子(愛媛)の演技では九才の男の子が獅子頭をかぶり、二人建ての肩車の上に乗って絶妙な軽業芸を披露すると、会場からは声援と拍手が拡がりました。

大社会場出雲大社

折からの雨のため舞台を急還神楽殿に移しての公演は、「出雲の阿国おどりをたずねて」をテーマに、桃山時代に始まる阿国踊りを色濃く伝承している佐文綾子踊(香川)、綾子舞(新潟)、白間津おどり(千葉)、須佐大宮念仏踊り(島根)が、神々しい会場の雰囲気のなかで華麗な舞を披露しました。司会には俳優佐野浅夫さんが加わり、座を盛り上げました。なお、同会場では特別事業として、観世流や大蔵流の「能・狂言」が記念公演の前後に舞われました。

「伝統芸艦賑やかパレード」

二十五日は、恒例の「地域伝統芸能賑やかパレード」が水の都松江のシンボルである松江大橋をスタート。県庁までの一キロの繁華街を華やかに練り歩き、沿道に集まった二万人の観客による熱烈な歓迎をうけました。中でも県外から参加した郡上おどり(岐阜)、鈴かけ馬おどり(鹿児島)、幅二メートル、長さ十二メートルもある車輪付きの大獅子が舞う「伊那谷の屋台獅子」が人気を集めていました。
折しも、十二年に一度開催される「ホーランエンヤ(船神事)」の開催と重なり、今回の芸能フェスティバルは最高潮を迎えました。今年は沿道にステージを作り、それぞれの芸能を披露しましたが、広場はカメラマンや観客で一杯となり拍手や声援で、熱演した団体と一体となりました。

協賛催事が盛り沢山

フェスティバル会場の周辺には「だんだん(ありがとうの意)ステージ」を三ヵ所設け、島根県を代表する伝統芸能を次々に上演。ここでは伝統芸能に、より身近かに接してもらおうと、宍道太鼓や安本節など、見るだけでなく叩いたり踊ったり、観客が参加できる体験の場が設けられました。ふれあい広場では、鹿児島県から参加した「鈴かけ馬おどり」の子馬には、ちびッ子たちが乗って記念写真を撮る楽しい光景が見られました。また、県下の特産品を販売するテント村には五十店を超える出店があり、来場者がお目当ての珍品やお気に入りの名産品を大きな買い物袋一杯に買い込む風景が見られました。
会期中には、松江市内・大社町周辺のあちこちの建物や広場でも盛り沢山の催物があり、市民にとっても思い出に残るフェスティバルになりました。

 

 

 

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