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1 はしがき

 

昭和40年代の始めより、わが子の生命を交通事故から守るため、自然的に全国の各地で発生した母の会は、(社)全国交通安全母の会連合会に結集して発展し、現在では会員約640万人を擁する、非常に大きなボランティア組織となりました。

 

この間、幼児の交通事故死者数は昭和45年に比較して、最近は約6分の1に減少し、非常な成功をおさめています。しかし、最近では高齢者の交通事故の急増が著しく、幼児や若者の交通事故の防止とともに、高齢者の交通事故の防止活動に交通安全母の会としても全力を傾注しなければならない状況になっています。

 

交通安全対策には、基本的に3E政策がありました。3Eとは、Enforcement(取締り)、Engineering(工学)、Education(教育)の3つです。昭和50年代までは、この3E政策が大きな支障もなく実施されてきましたが、60年代に入ると、規制の中心である交通の取り締まりが増大する交通量、夜間活動の活発化など変化する社会活動に追い付かず、また、環境整備も土地価格の高騰などによって非常に困難になってきています。それだけに、3Eのうち残る交通安全教育が非常に大きな役割を占めるようになってきました。

 

交通安全教育は、ドライバーに対する教育と、歩行者に対する教育とがあり、場所別には企業内、家庭、学校、地域などに分けられます。母の会での役割は、対象では主として歩行者、場所的には家庭と地域について行われますが、一歩進んでドライバーの立場も認識したうえでの交通安全教育が必要です。とくに交通安全教育の基本となる家庭での躾や、地域での交通安全教育は、母の会の他の団体に見られない最大の特色となっています。それだけに、母の会の活動は、わが国の交通安全全般にとって非常に重要な役割を果たしていると言えます。

 

今回作成したこの「活動の手引き」は、交通安全活動の第一線に立つ市町村交母の活動を一層活発にすると同時に、地域と組織の独自性を尊重しつつも、全国的組織としての活動を整々と行うためのマニュアルであります。今後の交通安全運動に役立ててください。

 

 

 

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