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参考 ばら積み貨物に関係する試験法及び試験実施状況

 

本報告書を理解するための一助として、以下に、ばら積み貨物に関係する試験法等について述べる。

 

R.1. 本研究で用いた各試験法の概説及び試験実施状況

R.1.1.一面剪断試験(4.4節に関係)

 

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一面剪断試験とは、図R.1.1に示したように、供試体に直圧力を作用させた際に供試体を剪断するのに要する力を計測する試験である。直圧力を変化させて試験を行うことにより、図R.1.2に示すように、試料の断抵抗角(一面剪断試験により計測した内部摩擦角)及び粘着力が得られる。試料の剪断強度(抵抗剪断応力)は剪断抵抗角(または係数)及び粘着力で表すことができる。

本研究で用いた装置は、図R.1.1のように重錘により供試体の上面から直圧力を作用させ、剪断箱の下部(下箱)を駆動し、剪断箱の上部(上箱)を拘束するのに要する力を計測するものであるが、他にも、供試体の下面から直圧力を作用させ、上箱を駆動し、下箱を拘束するのに要する力を計測するもの(三笠式)もある。

 

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図R.1.3に示すように、供試体内のある面が滑りと起こすか否かは、微視的には、その面に作用している剪断力が、その面に作用している直圧力に応じた抵抗剪断応力より小さければ滑りを起こさないと言える。

荷崩れ数値解析では、仮定した滑り線(ここでは円弧)の上で抵抗剪断応力と剪断応力を積分し、その比を安全率として求めている。多くの滑り線を仮定して計算を行い、安全率が最も小さくなる滑り線を調べ、その滑り線に対応する安全率を臨界安全率と呼ぶ。即ち、荷崩れ数値解析を行うには、供試体の剪断抵抗角と粘着力が既知でなければならない。

試料の粘着力及び剪断抵抗係数を計測する方法としては、他にも三軸圧縮試験がある。一面剪断試験は剪断面が予め定められているため、供試体の最も弱い部分が破壊する際の力を計測できないという欠点があるのに対して、三軸圧縮試験は、供試体の最も弱い

 

 

 

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