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4.5.5.加水量及び加水から円錐貫入試験までの時間と円錐貫入力の関係に関する考察

以上の実験により、加水量及び加水から円錐貫入試験までの時間と円錐貫入力の関係については、以下の結果が得られている。

(1)4.5.2節の実験結果では、加水から24時間後の円錐貫入力を1時間後の円錐貫入力と比較すると、テウディエ鉱については39%、ゲベ鉱については7%大きい。ここで、加水による水分値の増加はそれぞれ1.5%、1.6%であり、ゲベ鉱は円錐貫入力が大きい水分値であったことに留意されたい。

(2)4.5.4節の実験結果からは、「0.5〜0.7%の水分値の増加に相当する程度の加水量では、加水から2時間で円錐貫入力はさほど変化しくなる」ことが分かった。

(3)テウデイエ鉱の現場円錐貫入試験において、二日目の最初の試料(試料番号5番)の円錐貫入力を一日目の最後の試料(試料番号4番。水分値は同じ)のそれと比較すれば、約1〜2割小さい。試料に加水しないままに円錐貫入貫入力が下がった原因は、計測誤差と考えられるため、これは有意な差ではないと言える。

この試料については、水分値は約0.4%づつしか変化させていないので、加水から円錐貫入試験までの時間が長くなっても円錐貫入力が変わらないというこの実験結果は、(2)で示した事柄を裏付けるものと言える。

(4)ゲベ鉱の現場円錐貫入試験において、二日目の最初の試料(試料番号7番)の円錐買入力を一日目の最後の試料(試料番号6番。水分値は同じ)のそれと比較すれば、約2〜3割大きい。

この試料については、最初の円錐買入試験を行う前に、試料の水分値増加を約2%増加させるだけの水を加えている。加水から円錐貫入試験までの時間が長くなると円錐貫入力が増すというこの実験結果は、(1)で示した事柄を裏付けるものと言える。

以上をまとめると、テウディエ鉱の現場円錐貫入試験結果については、加水から円錐貫入試験までの時間が充分でないことに対する円錐貫入力の補正は不要であると言える。一方、ゲベ鉱の現場円錐買入試験結果については、加水から円錐貫入試験までの時間が充分でないことに対する円錐貫入力の補正を行う必要がある。4.5.2節に示した実験結果からは、円錐貫入力が低い程、加水から試験までの時間が円錐貫入力に及ぼす影響が相対的に大きい傾向が見て取れる。よって、ゲベ鉱の現場円錐貫入試験結果は、二日目の最初の試料(試料番号7番)の円錐貫入力と一日目の最後の試料(試料番号6番)の円錐貫入力の差を一日目の実験結果に加えることにより補正するのが適当である。

 

 

 

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