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進度に作業がついていけない場合は、そのまま居残って作業を行ったり、講義のない水曜日の五限目以降に作業を行いました。授業に臨むにあたって予習をするなど、他の科目では、少なくとも私の場合では考えられないことです。作業を行っているうちに興味を覚え教科書である「解剖実習の手引」の記載では満足できないことも多々ありました。そのような時には「解剖学講義」や「分担解剖学」で調べました。そうすることによってますます解剖学に対する興味が深まっていきました。また私の場合、アトラスに掲載されている写真通りの剖出が出来たときには、何故だか妙に嬉しい気分になりました。

しかし、振り返ってみますと、反省をしなければならない点も多々あります。

まず第一の点は私語です。始めは敬謙な気持ちを持って実習作業を行っていましたが、慣れるにつれ、実習に何の関係もない私語を発するようになっていました。反省と献体をされた方に対して謝意の念を禁じ得ません。

第二の反省点は常には真剣に実習に取り組めなかったことです。大方は真剣に実習に取り組んだつもりですが、時には手を抜いたことがあったことを私は否定できません。例えば、九牛の一毛を探すような神経の剖出の際のことです。少し探してなければ、「まあ、他の班のを見せてもらえばいいか……」と勝手に自分で納得してそれ以上の剖出作業をストップしたこともありました。深く反省しています。

トータルで考えてみますと、解剖学実習に

 

 

 

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