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解剖実習の感想

 

加藤 浩太

 

″医学部″という言葉を耳にすると、まず思いつくことに″解剖″というものがあると思います。私もしばしば知人から解剖について、恐怖と興味と共に質問を受けます。やはり一般的に、人体というものを解剖するということは、かなりの抵抗があるのだと思います。

私も今年の四月までは解剖というものには知人同様の感覚がありました。しかし、四月十日、いともあっさりと解剖実習の時間を迎えてしまいました。実習室は独特の空気が流れ、周囲の人々も異様な面持ちで、私も緊張がひどく、本当に実習をすることは可能なのかと不安になりました。

ところが、黙祷が終わり、実習が開始されると、皆、淡々と行動し、戸惑いや躊躇はなく、気おくれしているのは自分だけということに気づき、自分は医学部に在籍し、医学を志しているということの認識が薄かったと感じたことを覚えています。

そして、そこから意識を変え、積極的に実習に臨むことにしました。すると、どんどんと疑問が湧き、時間がすぐに過ぎてしまうようになりました。何でも物事は、好きになることが進歩を生むと思います。事実、正直なところ、解剖書での勉強は嫌なものでしたが、実習中は疑問を解決すべく読む解剖書

 

 

 

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