ました。特に胸部・腹部の構造は模式的な絵とは全く異なっていました。胸・腹部は図解や写真で学習しても大変わかりにくい構造をしており、実際よく理解できていませんでした。しかし解剖をした後、同じ図や写真を見てみると、それらの示しているものが何なのかわかるようになりました。
例を挙げれば限りがないですが、大変貴重な経験をさせて頂きました。
最後になりますが、ご遺体ご本人とご家族の方々に重ねてお礼を申し上げます。ありがとうございました。ご遺体の方のご冥福をお祈り申し上げます。
生命とは何か
平野 智久
私は現在まで約十年程、生命科学の研究に関わって来たが、人間の中身を唯の一度も見たことがなかった。人間に投与する薬品の開発に携わっていたにも関わらずである。従って今回の解剖学実習は医学に転身した私にとって、自分の科学のキャパシティーを大きく拡げてくれるに違いないと期待していた。さらにこれを機会に生命について深く考えてみたいとも思っていた。そんな訳で解剖学実習は私にとっては不安より期待の方が大きかったと言える。