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児童演劇全国離島巡回公演

昨年度から始まった、日本財団助成による「児童演劇全国離島巡回公演」。生まれて初めて観る子どもたちの視線は熱く、島民あげてのこの事業への期待は大きい。この仕事に賭ける劇団の想いも熱い。

 

10年後、また会おう

人形劇団むすび座 大野正雄

 

周囲5km、標高12mの小さな島で、私たち人形劇団むすび座は、『石の馬』を上演しました。海が荒れると船が出ない能登半島の先端、石川県輪島市から50km沖にある舳倉島。船は2時間かけて、島に到着しました。

もちろん、芝居の道具を積んだトラックが船に乗れるわけもなく、私たちはトラックから荷物を船に積み換え、島に運んだのでした。

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さあ、島についたら道具を分校の体育館まで運ばなければなりません。運搬用の車が用意してあるとのことでしたが、車が見あたりません。ふと目をやると、リヤカーが4台ほど。「なるほど、これも車のうち(笑)と思った時、「これを使うんだって」という声がしました。

それは何と、ブルドーザーでした。でっかいブルドーザーでした。みんなは「また冗談言ってぇー」と誰もが信じませんでした。しかし、本当でした。

荷物はブルドーザーとリヤカーに積まれ、バラバラと降り出した雨の中、学校の先生や島の人たちと共に、分校の体育館へと運んだのでした。

公演は2時頃から。やや緊張気味の子どもたち、リラックスしまくっている島の大人たち、そして島外からのバードウオッチャーの人たち。

終演後、「大変、素晴しかったです!」のたくさんのお賞めのことば。ホッとしました。

次の日の朝、民宿の前で島の子どもたちと遊びました。彼らはとても素直で明るく、素朴でした。

船が島を離れる時、「10年後にまた会おうなー」という声がしました。

10年後、大人になった彼らと、また会いたい、と強く思いました。

※人形劇団むすび座は、『石の馬』(関久幸雄構成・演出)で、5月24日、石川県の軸倉島で公演。

 

劇団から

6月30日〜7月3日の「離島公演」を無事に終えることができました。私的にも、たぶん行く機会のない離島での公演、とても貴重な経験となりました。

当着した直後から、たくさんの島民の方々が声をかけてくださり、公演の日を心待ちにしてくださっていたこと、ひしひしと感じました。

今までも、そしてこれからも、芝居に滅多に触れることのないであろう島の人たちの、熱く真剣な眼差しに、私たちはとても励まされました。人との出会いが、私たちの仕事にとって財産であることを改めて感じました。

慣れない漁船への積み込み、リヤカーでの搬入等、大変なこともありましたが、終わってみると全てありがいた思い出です。

貴重な機会を与えていただき、劇団員一同、深く深く感謝しています。(劇団如月舎・寺田和子)

※劇団如月舎は『のらねこハイジ」で、6月30日島根県知夫里島(ちぶりじま)・7月2日兵庫県沼島(ぬしま)・7月2日徳島県伊島(いしま)で公演。

 

学校から

遠路、淡路島南端の沼島へおこしいただき、ありがとうございました。

当日は、激しい雨の中、運搬・準備・公演の条件としては、最悪だったにもかかわらず、力一杯の舞台を演じられ、普段の子どもたちに見られない、目の輝きに接することができました。

地域住民も、めったにみられない演劇を鑑賞することができ、町で会う人ごとに御礼のことばをいただきました。ひたむきに演じる姿は、島民に感銘を与えました。これからも多くの離島の人々に夢を与えてくださることを願って。

(兵庫県南淡町立沼島小・前田教頭)

 

 

 

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