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平成九年度

「児童演劇全国離島巡回公演」スタート

「『盲・聾・養護学校』児童青少年演劇巡回公演」も

日本財団助成による「平成九年度児童演劇全国離島巡回公演」は、5月24日側のむすび座による石川県の舳倉島(へくらじま)公演から始まった。

舳倉島は、能登半島の北端・輪島市の北海上に位置し、長卵形の島。小学校の分校が28人、中学校の分校が5人。

当初、石川県の「巡回公演」の最終日の次の日に余裕をもって公演計画を立てていたが、島の都合で急拠「巡回公演」の初日の前々日の5月24日の実施となった。

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むすび座は5月23日、午前中に名古屋での公演を終えて、一路輪島市へ。夜遅く輪島泊。翌朝、トラックから定期船に(定期船は一日一便)舞台道具を積み込んで、舶倉島へ1時間50分。舶倉島港では、ブルドーザーとリヤカー15台が待機。港から300m離れた学校までブルドーザーとリヤカーでピストン輸送。そして仕込み。

14時開演。島の人たちが集まってくる。熱い拍手をもらって終演。

その日は舶倉島泊。翌25日に逆の順序で輪島港へ到着。「巡回公演」の初日である小松市へ。

といった具合にうまくいった、が、その前の私どもの心配は大変であった。

一週間前から、県や輪島市へTEL。船が出るか、測候所へ毎日のようにTEL。舳倉島への出発日の24日に船が出ないようだったら公演は中止(あるいは延期)。25日の舶倉島から帰ってこれないようだったら、「巡回公演」の初日がアウト。

劇団や県、そして輪島市との協議を重ねての予定決行だったが、こんな綱渡りは絶対嫌だ――は、うまくいった後でも、私の想い。

24日は協会の総会の日。朝から船が出たか心配でならない。劇団にTEL。「公演班から何の連絡もありません」との由。こっちがこんなに心配しているのに、と腹をたてるが、思い直して“便りがないのはいい便り”と、自分に言いきかせる。

25日は、アシテジ日本センターの総会。この日も朝から船の心配。日曜のため劇団制作部長の長田宅へTEL(長田氏は出張のため不在)。奥様いわく「何の連絡のありませんので、うまくいったのでしょうね」。よかった!!

“想い”は高いこの「離島公演」も実際は相当に大変である。

〈平成九年度「児童演劇全国離島巡回公演」予定〉

・むすび座 関矢幸雄構成・演出

『石の馬』5月24日舶倉島(石川県)

・如月舎 矢田嘉代子作 深海ひろみ演出『のらねこハイジ』6月30日知夫里島(ちぶりじま)(島根県)・7月2日沼島(ぬしま)(兵庫県)・7月3日伊島(いしま)(徳島県)

・コーロ かたおかしろう作 茂山千之丞演出『天満のとらやん』7月9日沖島(おきのしま)(滋賀県)

・野ばら 石川明作 森田俊二演出『輝け!緑の宇宙船』8月24日粟島(あわしま)(新潟県)

・キオ 荒木昭夫作・演出『卵をとるのはだあれ―魔女のフィフィ』9月3日〜9月5日相島(あいしま)・蓋井島(ふたおいじま)・野島(のしま)(山口県)

・うりんこ ライナー・ハッフェルト作 ヴォルフガング・コルネーダー演出『こどものムクノク』9月9日〜9月11日佐久島(さくしま)・篠島(しのじま)・日間賀島(ひまかじま)(愛知県)

・風の子 みかみかん作 有賀二郎演出『霧のむこうに風がはしる』9月16日〜24日 島根県・隠岐島後(おきどうご)(西郷町・布施村・五箇村・都万村)7公演

 

「離島公演」と並んで私どもの悲願であった「盲・聾・養護学校」公演。幸いにも同じく日本財団の助成を得てのスタートとなった。

養護学校公演については若干の経験はあるものの、盲・聾学校公演については皆無に等しい。公演の計画に先立ち、協会と劇団とで公演スタイルの研究に入った。盲学校・聾学校の現場の先生方と何度か出会いの場をもつことができた。結果、聾学校公演では字幕スーパーの活用、盲学校では事前事後指導を徹底することにした。

この「盲・聾・養護学校」公演は、とりあえず一年間の成果をみて、来年度以降の継続を判断することになっている。

〈平成九年度「『盲・聾・養護学校』児童青少年演劇巡回公演」予定〉

・さっぽろ 松谷みよ子原作 高坂純脚色 飯田信之演出『三まいのおふだ』6月17日〜11月4日 7公演

・みんわ座 小沢昭巳原作 生越嘉治脚本 山形文雄演出『とべないホタル』ほか 9月2日〜9月18日 7公演

・風の子北海道 中鳥茜構成・演出『かぜのこひろば』養護学校)多田徹脚本 鳴海輝雅演出『マーレンと雨姫』(盲学校)9月18日〜12月1日 7公演

 

この二つの事業ともに、劇団がかける労力は大きい。また公演を受け入れる学校等の喜びも大きい。

この事業を助成してくださる日本財団に感謝申しあげて。(石坂)

 

 

 

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