日本財団 図書館


く無いんです。つくらせないんです。日本と同じような火山国ですから、もう道路は海岸沿いにたくさんあります。路肩を補強せないかんといったら、それはもう道路を植え付けるんです。日本では道路をちょっと短縮するために、道路トンネルをポンポン掘ります。ニュージーランドを走って感心するのは、道路のトンネルはいっさいありません。認めないんです。川の護岸も全くありません。まあ2世帯に1隻、クルーザーかヨットを持っています。ニュージーランドの乗用車をみますと、後ろに牽引するための突起を付けた車が8割です。普通の乗用車で。それはクルーザーとかヨットを牽引するための装置なんですけど。それだけありながら港や海岸は、オークランドに1800年代にできた石造りの海岸があるだけで、それ以外ニュージーランド中、どこを探してもありません。海岸の代わりにあるのは木の岸壁です。そして、港、まあ入り江単位で1本だけ認められているのは長さ20メートルくらいの木の桟橋だけです。船は全部沖にとめてあります。丁度春夏秋冬、日本と反対です。日本の鯛そっくり、ひらまさ、鯵、伊勢えび、あわび、こういう日本で珍重されるものは、全部ニュージーランドにあります。十年ほど前からニュージーランドの輸出は、羊毛とかそういう家畜関係のものから、日本向けの魚になっております。日本で皆さん方がお食べになっている鯛の中で輸入物の8割は、ニュージーランドから来ています鯛です。そのように日本とそっくりの風土なんですけど、違うのはコンクリートとか煙突とかがありません。

今回10月に行きましたときに、2人だけ初めての連中がおりまして、ニュージーランドを車で走りながら「煙突があって黒い煙が出ているところがあったら、おれ、罰金千ドル払うから」。煙突があってもなるほど出ていないなあ。火力発電所がありましても、それから煙が出ていたら操業停止です。煙突2本だけ、白い煙が出ていました。それは、地熱発電所の水蒸気と、ミルクを乾燥させているドライミルクの工場の水蒸気の煙突だけです。

最近リストラで、ニュージーランドをお手本にしようということで、日本の政治家もだいぶニュージーランドへ行かれた方が多いと思います。あそこは運輸省2,000人おったんです。構造改革で今20人です。たったの20人です。どうしてかといいますと、あそこは車検が無いんです。ハンドルが動いて、ブレーキがきいたらそれでOKです。その車検料は、日本円でいいますと300円くらいです。皆自分でやるんです。彼らが乗っている車の80%は日本の中古車です。日本の車を20年くらい平気で乗っております。日本の車はそれだけ乗っても大丈夫なのです。ニュージーランドの速度規制は、130キロメートルです。一車線です。それで日本の中古車でブンブンとばして、20年は日本の車はもつのです。それを日本は1年の車検で、まあこの頃は2年になりましたけれども、ひとえに自動車を売るために、自動車会社のためだけなんです。そういうことを抜きにしたら日本の車は、ニュージーランドやオーストラリアでは、何十年も走っているのです。それで事故は起こしてないんです。

まあ、世界を歩いてみますとそういうふうなことが目に付きます。ニュージーランドの場合は、日本の日米安保条約と同じようなアンザック同盟、オーストラリアとニュージーランドとアメリカとの条約です。それを結びながら、アメリカの軍艦が核を積んでいるか、積んでいないか伝えないという、「そういうあいまいな軍艦は、結構です」といいまして、同盟国の中でもニュージーランドだけは、きっちりとアメリカの軍艦の入港を認めておりません。労働党内閣の時にそうなって、今現在は保守党内閣ですが、保守党内閣でも公約はアメリカの軍艦は入れないと、それがコンセンサスになっている。その元になっているのは自然をめちゃくちゃに彼らは大事にしています。その延長線がごみの問題で、世界で一番ごみが少ない国は、文句なくニュージーランドです。

ニュージーランドでびっくりするのは、清掃しているところを見たことないし、ごみ箱も日本に比べてうんと少ない。それなのにごみが全く無い

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION