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た人で、いまは大学の教授になっています。『環境保護運動はどこが間違っているのか』という本を、1992年に、環境保護運動のいろいろなことを全部書いているのです。牛乳パックだけのリサイクルは、水とエネルギーが余分にいる。だから、カナダの森林等のことも全部頭の中に入れた上で、場合によっては、燃やしてエネルギーにした方がよいのではないかと書いています。

同じ意味で、もうひとつ私たちの目をひいた本があります。アルミ缶をリサイクルすると、ボーキサイトからアルミ缶をつくるのに比べて、97%も精錬のエネルギーが節約できるということを私も信じていました。ところが、この槐 一男さんという方が、同じ年に『空き缶リサイクルは地球にやさしいか』という取材を、スパッといいますが、「三菱マテリアル」という金属会社へ実際に足を運ばれて、調べてみたらおかしい。実際には空き缶を集めて、それはアルミ缶にはなってない。従って、エネルギーの節減はせいぜい5割だというようなことを書きました。その後で、久米 宏のニュースステーションが、もっと突っ込んでTVカメラを持っていったら、三菱マテリアルが、どうぞ工場の中へ入って見て下さいといわざるを得なかったのです。こういうことが、徐々にわかってきた。世の中はだいたいこういうものだろうと思います。

井尻 千男という人は、日経新聞の記者だった人で、『言葉を玩んで国を喪う』という本を1昨年出しております。つまり、「地球にやさしい〜」とかなんとかという、さっき耳触りの良い言葉といいましたね。それが、本当に単なる物を売ればいいという形で企業戦略に使われているのは困る。彼の本の中に非常に厳しい表現があります。地球をやさしく抱いた「エコマーク」がありますね。日本環境協会に、例えば10万円の品物なら、10万円を環境協会に払ったらエコマークをつけていいということになるわけです。この本では「逆と違うか」と、「上納金を取るとは何事や、むしろ、フロンを使っていないスプレー缶みたいなもので、本当にエコ商品か。もっと画期的な物を発明したときに、日本環境協会が補助金を出す、こういうことではないか。それを、一般受けするような流行語だけをもてあそんでいると、国を喪うよ」という厳しい表現をしております。

ここで、私が引用しておりますのは、アメリカの家庭の主婦が書いた原典です。たまたま、実物しかもっておりませんが、この基本をさかのぼると、1970年、もう27年も前にアメリカではこういう本が売れている。大阪経済大学の稲場先生がアメリカでお土産げに買ってきてくれたものです。これが、アメリカの本屋では平積みしてあった。それを書いた人は家庭の主婦で、キャロルさん、マリーさん、ジョイスさん、リングさんという方が、「家でできること、庭でできること、コミュニティーでできること、そして政府の中でできること。最後に大統領に手紙を書くときの住所・番地・一番最後に日本語では敬具と書きますよね。それを大統領に書くときと、国会議員に書くときでは違うよ」というようなことまで、この中には書いてあります。これは、2ドル50セントです。その当時の為替の換算では300円くらいじゃなくて、5〜600円したと思います。

今炭酸ガスをアメリカは、0%やというようなことを言っておりますが、実はアメリカの市民レベルでは、こういう強さがあるんだということをご記憶願いたいと思います。

こういう意味で、今日、後であります「ペットボトルのリサイクル」を産官学民が協調して、吹田だけではございません、日本全国で進めていこうというときに、このような立場が要るのではないかということです。

それで、2ページ目は「リサイクルの文明と文化」ということを述べております。今私たちがやっておるのは、どう考えてもよく目に見える「ごみ」、廃棄物はよく見えますね、これをどちらかというと、技術でリサイクル・再利用するということが、あまりにも大きい。それで、あるアメリカの市民運動家のかなり皮肉な発言をする人で、ピーター・バーグという人が、日本にやってきたとき、こういうことを言っ

 

 

 

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