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◇◇基調講演

創発! リサイクル社会

研究所長 末石冨太郎

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財団法人千里リサイクルプラザ研究所長

滋賀県立大学環境科学部教授

 

お手元のレジメをごらん下さい。いきなり「創発」というまだ日本語になりきっていない表現を使いました。この元の言葉は英語の“emergence”(エマージェンス)です。これに、“y”をつけて“emergency”(エマージェンシー)になったら、「緊急事態」のことですね。だけどそうじゃなくて、そこに解説をしておきましたように「迸り出る」、「ぱっと吹きでる」ということを意味しています。最初にこの言葉を使ったのは、アメリカの生態学者のユージン・オダムという人です。

今はやりのエコロジー(生態学)は、従来は、生物学の一つの小さな分野くらいにしか扱われていなかったのが、生態系を構成しているいろいろなエレメント、それは水とか大気とかというものももちろんありますし、その中心に座っている生物の沢山の種を考えて、そういうものの関連を論ずる学問だということで、オダムが”New ecology”(ニューエコロジー)の「創発」と言ったのです。

この論文を私が読みましたのは、もう20年程前でございます。最近は生態系より難しい内容ですが、新しいサイエンスの世界で複雑系、とにかく世の中は複雑に絡み合っているという複雑系の学問がおこりました。複雑系の学問が、創発をおこしたということが、皆様方でもお読みいただける程度の学問書になって、今町に溢れています。私自身は、この“emergence”という言葉を使いたいんですが、どう訳したらいいかわからなくて、例えば「リサイクル社会」でしたら、「リサイクルのすすめ」という表現で論文を書いておりました。

5年前の1992年に地球サミットがございました。今年は必ずしも、その跡継ぎ会議ではありませんが、来月には「炭酸ガス削減の京都会議」が開催されます。世の中は大変、特にマスコミを中心にして盛り上がっております。それを横目に見ながら、リサイクルの問題を論じたいのです。吹田の町のリサイクルは、実は地球の環境問題とは無関係に始まっております。先ほど、福屋市議会議長さんが、おっしゃったとおりです。

このリサイクルプラザ・リサイクルセンターが、スタートするとき、ブラジルサミットが開催されるときとたまたまうまく重なって、非常に運がよかったと思っております。ですが、誰のせいというわけではございませんが、大変耳触りのいい言葉がどんどん使われました。お手もとのレジメにいくつか書いてあります。例えば、1991年の流行語に「地球にやさしい〜100の方法」とか「環境にやさしい〜99の方法」とかが出て来ました。どれぐらい売れたかは、私は知りません。これは、1991年の大賞にはなりませんでしたが、実は流行語をマスコミが選定するときに、多分同じ年だったと思います。「〜じゃあーりませんか」というのが仲間にあるのです。こういう物と「地球にやさしい」とが一緒にされるのは困るんです。最近でも使われているようですが、段々色あせてくる非常にいのちの短い流行みたいなものになりますので、気をつけなければなりません。

それで、同じような意味で、毎日努力をしておられる方には大変申し訳ないのですが、ちょっと厳しい表現をします。日本のリサイクルは、一番最初、私が関わったときの経験で申しますと、まず、家庭の「なんで女だけがやらないかんのか」というのには、私も部分的には異論がありますが、主婦の人が始めた牛乳パックのリサイクル、これが日本では最初だったかなと思います。全国のパック連の会長が平井さんという人で、その後過労のためか会長さんになられてすぐお亡くなりになられた。1度か2度、私も東京でお目にかかったこともあり、こういう状況の時すでに出版の社会では、その日本のやり方がおかしいよという本が出てきたわけです。

例えば、レジメにも書いてございます。1ページ目の3分の1ぐらいのところです。槌田 敦さんという方で、元々、理化学研究所の研究員だっ

 

 

 

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