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?情報の共有化による物流共同化の促進

物流効率化の手段として複数の企業による物流の共同化が着目されている。流通面では地域の卸・小売業者による地域流通VANが既に構築されており、また、業界VANをベースとして共同配送を実施している例もあることから、地域における物流共同化を促進する際には、情報ネットワークの活用が有効であると考えられる。

また、トラック輸送においては、貨物・車両の相互融通等を目的としたネットワークKIT、ローカルネットワークシステムなどを通じた共同化が取り組まれている。特に九州における地域的な取り組みという観点から、既に福岡市天神地区で実施されている地域共同集配や、主に九州域内輸送を対象とした積合せ輸送・帰り荷融通のために、情報ネットワークを活用することが想定される。

こうしたことから、共同利用型の情報ネットワークの構築を通じて企業間の情報の共有化を図り、九州域内全般、あるいは特定地区における物流共同化を促進していくことが重要と考えられる。

 

?中小トラック事業者における取引の継続・安定化

国内物流の主要な担い手であるトラック輸送の効率化は社会的要請となっており、エネルギー消費の削減、渋滞の緩和などの観点からもその必要性が高まっている中で、情報化はその有力な手段として期待されているが、取扱量の少ない中小事業者の場合、情報化を進めても、その費用に見合う効果が十分に期待できない場合がある。

一方、九州のトラック事業者は中小事業者が主体であることから、全国展開する大手企業と比較して情報化が立ち遅れており、荷主の側からは情報化をはじめとした物流革新への取り組みが遅れている企業との取引を縮小する動きもあることから、事業機会の縮小もしくは損失も懸念される。

こうしたことから、中小トラック事業者における情報化を企業の生き残り戦略のひとつとして捉え、EDI(電子データ交換)の実施など荷主の情報化ニーズに的確に対応し、取引の安定化を図るという側面に重点を置き、その促進方策を検討していくことが重要と考えられる。

 

?企業間の規格不統一に伴う弊害の解消

企業間の電子データ交換(EDI)が進められる中で、多端末化によるデータの多重入力やデータ変換作業の発生、企業毎に対応したソフトウェアの開発・運用など規格の不統一による弊害も顕在化してきている。

プロトコル(EDIに必要な定義集)の標準化については全国的に進められているが、その動向を踏まえ、九州においてEDI標準メッセージの導入促進、伝票の統一化、バーコードの普及・統一化などを進めていくことにより、規格不統一による弊害の解消を積極的に図っていくことが重要であると考えられる。

 

 

 

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