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平成9年度『地域防犯活動促進モデル地区活動』の実施結果報告の“まとめ”

 

世界各国から高い評価を得てきたわが国の「治安の良さ」の根底には、“住む地の安全は、住民自らが協力し合って、自らの力でつくっていく”という、古い歴史的伝統を持つ近隣社会の連帯力のもとでの『地域社会の共同防犯力』があった。

この力は現在でも我が国治安の根底を支えているものであるが、ここにも社会の変化が影を落としてきている。すなわち、住民の移動率の増加、職住の分離、伝統的共同行事の喪失などによって、地域社会の伝統的共同体そのものが変化し、そこに基礎をおく、安全な地域社会づくりへの力『共同防犯力』の弱さが目立ちはじめている。

それだけに、現代に生きる私どもには、その社会の変化に対応した『共同防犯力』の再構築が強く求められ、個人及び社会にとっても最も大事な“安全に暮らせる、住み良い社会”の伝統を後世に残していくべき責任が課せられている。

いうまでもなく、「安全で住みよい地域(街)づくり」は、あくまでも自らの熱意と努力でつくり上げていくべきものである。そのためは、そのことの重要性を人々に認識してもらい、より多くの人々の熱意及び力を結集させる“きっかけ”が必要であり、“核”になるものが必要である。

『地域防犯活動促進モデル地区活動』の事業は、そのための先導的役割を果たすものである。

これまで、この事業のモデル地区に指定された地域にあっては、モデルとして選ばれたことに誇りをもち、自らの行う活動が、真にモデルとなって他の模範となるよう、関係機関団体の力を結集させて、活発に活動を展開してきた。平成9年度にあっては、この良き成果をもとに、新たに、全国の51の地域を「地域防犯活動促進モデル地区」として指定したものである。

各モデル地区においては、それぞれに防犯活動推進指導員2名及び防犯活動推進員13名を選定した。この推進指導員と推進員を“核”としつつ、地方自治体その他の関係機関、各種の自治組織や団体、企業、防犯協会員、ライオンズクラブ、ロータリークラブ、地域ボランティアや自治体職員等を巻き込んだかたちで、「地域安全推進(連絡)協議会」を組織して活動の基礎を築き、「安全で住みよい地域(街)づくり」と健全で自立性の高い地域コミュニティの形成をめざした活動を展開した。

各地区の活動内容は、地域の実情に応じて異なっているが、各地区に共通したものとして、まず

○ 「地域安全推進(連絡)協議会」の組織・結成及び地区大会の開催が挙げられる。これには、前記関係機関、団体、企業等のほか、PTA、町内会、自治会、婦人会、商店会など、多数の地区住民の参加を求めてその盛り上がりを図っている。

また、平成9年度の活動の顕著なものとして、地区によってその名称は異なるが

○ 「こども110番の家」の設置がある。平成9年5月、世間を震撼させた少年による少年少女殺傷事件が発生し、これに前後して、子供を対象とした凶悪事件が各地で発生したことから、各モデル地区は、活動の重

 

 

 

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