日本財団 図書館


―ス管理の方法に関連したものとしては、上級大臣のAline Wong博士による高齢者ケアにおける「全体論的な治療ヨース」の要求がある(ストレイト・タイムス、1997年7月6日)。その様な治療では、より広い展望を持つべきであり、その中には、伝統的な中国医学の様な補完医療が含まれるかもしれない。博士はまた、ケアの全体論的枠組みでは、問題解決に向けて、財政的・社会的・家庭的状況などを含む医療を超えた取組方法について求めている。

 

この枠組みを補うものは、やっと注目され始めたばかりの高齢者ケアの領域の研究の必要性である。つまり、高齢者の感情面のケアである。シンガポールの高齢者の自殺率は高い。60歳以上の高齢者が、1990年から1995年の間の毎年300件の自殺の約28%を占めていて、70歳以上の高齢者の自殺率が最高だった(ストレイト・タイムス、1997年9月21日)。それに加えて、シンガポールの高齢者の大多数は子供と同居し、子供から財政的支援を得ているが、1995年の調査では、かなりの割合が孤独を感じていることを示している。これは、個人の福祉には、無形の感情面のケアも含まれている事を示しており、皮肉なことに、多忙な成人した子供達がしばしば仕事や家事の差し迫った要求に追われて、この感情面のケアの入手が難しくなってきている。この様に、若い世代が高齢者ケアの認識を変える必要がある様に、高齢者も、感情的および社会的支援の代替物として、趣味および自分たちの友人を開発すべきである。

 

さらなる開発が必要な高齢者ケアのもう一つ状況は、ケアギバーのための支援施設の提供である。ケアギバーの多くは、妻、娘、母親、キャリアウーマンとしての厳しい要求という重荷を背負った、挟まれた世代の中年女性である。身体の弱くなった高齢者が家庭および共同体に住むことを可能にするためには、彼女たちの肉体的および感情的な福祉も、同程度に重要である。そのため、高齢者向けの家族によるケア政策を維持するためには、休息、ケア、カウンセリング、デイケアセンター、在宅看護、ケアギバーの教育コースの様なサービスが、もっと多くのケアギバーに届くように拡大すべきである。

 

高齢化対策が全体論的医療ケアを超えて拡大していくためには、高齢者の間だけではなく世代全体に渡って、高齢化の「全体論的」認識

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION