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上海市の第一次ベビーブーム期に生まれた人口は約227万人であり、この人口が2009〜2017年の問に毎年約30万人のペースで高齢者の群に突入すると予想されている。

(2) 高齢化最盛期高齢人口の扶養と対策

上海市の高齢化最盛期の人口は、ほとんどの人が「一人っ子」の親である。彼らが高齢期に入るころ、子どもである「一人っ子」は結婚・育児の段階に入る。そのとき、もし「一人っ子政策」が中止されていれば、「一人っ子」同士の夫婦は2人またはこれ以上の子どもを持つことが可能となり、家庭の構造は「4.2.2」のパターンに変わる可能性もある。しかし、育児負担は重くなる。そんな変化の下で、平均寿命の延長、福祉サービス水準の向上などを考えると、高齢者扶養は家庭養老においても地域社会の支援がなければ実現できないであろうから社会養老にかかる役割はより一層大きくなろう。

社会福祉施設が現在すでに不足している上海市では、今後の対策として、まず、社区サービスを一つの有効な手段として、これからさらに発展させようとしている。上海市はいま社区サービスの発展計画を都市計画にも組み込み、環境の整備、生活の便利さ、娯楽設備を整え、住民が安心して利用できる地域社会を作り上げたいと考えている。

社区サービスとは、地方行政地域に基づいて、地方の末端組織(市区部の場合、町、住民委員会、農村部の場合、郷、行政村、自然村)が主体となって行う多方面の地域サービスである。「社区」の基本的意味は、一定の地域内において、一定の社会制度と社会関係に従い、帰属感のある共同生活地域である。もちろん、社区サービスの対象はすべての住民であるが、そのうち、高齢者のみに提供するサービスの形と内容は社区高齢者サービスという。このような1つ1つの地域社会で高齢者の養老施設を建設し、介護を必要とする高齢者にサービスを提供するのである。そのほかにまた多機能の高齢者サービスのネットワークを作り、地域に住む高齢者に必要なサービスを提供し、家庭の縮小や核家族化によって、養老などの介護機能が低下した家族を支援し、その負担を緩和させようとしている。

 

次に、できるだけ早く高齢者「介護保険サービス」を始めることを検討している。高齢化最盛期に向って高齢者は一層増加するのに、次の世代の人口が少ないため、社会は厖大な高齢者の介護要請に応えら

 

 

 

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