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を含むすべての地域住民を対象とした施設である。家庭及び児童サービス、青少年サービス、健康回復、高齢者サービス、など地域社会サービス活動の拠点であり、地域社会の中で最もサービスを必要とする人々を常に主な対象としている。それは高齢者、身体障害者、貧困者などである。そこでは基本的生活のサービスのほかに、次のような項目のサービスも提供する。(1)高齢者の心身の健康、健康回復、娯楽、社交に関するサービス活動、(2)結婚式・葬式、婚姻、法律、社会福祉、心配事などの相談、(3)その他、住民に便宜を提供するいろいろなサービスである。

上海市役所はここ数年間社区サービスの発展に力を入れてきた。自炊できない高齢者には食事を家まで届けるサービスを行い、高齢者食堂を設けるなど、「食事難」の問題解決に当たっている。1995年の統計によると、高齢者に「暖かい心遣いをする」運動に協力する組を6,154組を編成し、掃除、買物など自分の身回りの世話ができない7,827の高齢者に対して日常の基本的な世話の問題を解決した。2万5,303人の高齢者に力仕事のサービスを提供したり、独りで暮らしている高齢者に救求ベルを2,377家に設置したりしている。社区サービスに参加するボランティアの数は年々増え、すでに50万人にも達している。

社区サービスは特定の対象者をこえて、できる限りその総合的機能を発揮しようとしている。ここ数年、高齢者福祉サービスが大きな発展を遂げ、市、区(農村は県)、町(農村は鎮)、居民委員会という4つのレベルのサービスネットワークが形成されている。

 

しかしながら、経済の発展に比べて社区サービス・センターの整備内容は遅れている。とくに今後、急速な高齢化が進み、核家族化も進行し、家庭による養老機能が相対的に低下し、それを社会に求めることが顕著に増加することを考えると、その遅れが心配される。既に現状でもその遅れは指摘され、具体的にいえば、(1)高齢者の絶対数が大きく、割合も高いこと。1995年現在全市の満60歳の高齢者は227万人で人口の17.4%を占めている。(2)とくに後期高齢者が多いこと。80歳以上の高齢者が23万人に達し、高齢者の10%を占める。(3)家庭の規模の縮小により、高齢者を介護する機能が弱化している。1960年代に、上海市の1世帯平均規模は4.5人であったが、1982年3.6人、1990年3.1人と減少し、1994年には2.9人に縮小している。ここ数年、市区部

 

 

 

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