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(2) 高齢者福祉サービス

上海市だけではなく、中国全体における高齢者の養老はとに家庭養老と社会養老である。家庭養老は後述するとして、ここでは社会養老、すなわち社会福祉施設や高齢者が受けられる公的サービスに関して述べたい。

社会養老とは、国家や地域社会による社会的支援サービスとそれによって生活する老後の過ごし方である。それは国家の規程や政策によって保証される老後保障の制度である。衣、食、住、医療、葬儀(五つの保障)が全部国によって保障される仕組みである。ただし中国でそれを受けられるのは「社会老人」だけである。「社会老人」とは、子女がいない、無収入、無職の高齢者(三無老人)を指す。十数年前まで、政府は、そのような自分の世話をできなくなり、自活もできない「三無」高齢者を福祉施設に入れ、日常生活の世話から死後のサービスまで一切を無料で提供していた。他の高齢者はほとんど自分の家もらい、老後を過ごしていた。

上海市にある高齢者福祉施設には、社会福利院、敬老院、社区サービス・センターがあるが、社会福利院は、かつては主に「三無」高齢者を収容し、政府が費用を負担する施設であった。しかし、現在は金のある高齢者も希望によって有料で収容している。敬老院は、農村部に在ったことから、地域社会と比較的密接な施設で、社会福利院より規模も小さい。上にその近辺の地域社会の高齢者を対象としており、現在たいていは有料である。社区サービス・センターは町を中心とし、その町、地域の高齢者や住民全体をさまざ提供する施設である。1995年末の上海市民政局の統計によると市レベルの社会福利院は4ヵ所、区、県レベルの社老院は371ヵ所である。また、全市の98.9%の街道が社区サービス・センターを設立している。

 

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社区サービス・センターは高齢者施設や敬老院とは異なり、高齢者

 

 

 

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