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化のスピードの速いことである。第2に、上海市人間の年齢構成の転換が速いことである。1973年に低出生、低死亡の成人型の都市に突入し、1979年にはすでに高齢化社会に突入し、その転換には6年しかかからなかった。その後の高齢化はさらに速度を早めている。

第3には、後期高齢者の増加である。高齢者の平均寿命は1995年の上海市の男性は74.1歳、女性は77.9歳に達し、先進国の水準に近づいている。1994年全市の80歳以上の後期高齢者は22万人で高齢者総人口の10%以上を占めているが、2010年には約47万人になり、15年余の間に2倍以上に増加する。

第4には、上海市は市区部(14区)と農村部(6県)両方から構成されているが、市区部の高齢化のスピードが農村部より速いことは明らかになっている。中心市区にある度湾区、静安区、黄浦区、南市区などの65歳以上の高齢人口割合は16%以上に達しており、一部の街道(町)は20%にも達している。それに対して、農村部の高齢者の比率は低い。

 

上海市の人口高齢化の特徴を強調すれば、60年代からの出生率の低下に加えて人口移動と出生に関わる政策のために、高齢化が急ピッチで訪れることにある。上海市の死亡率は65年〜74年は0.5%台、75年以降は0.6%台を保ってきており、90年代に入って0.7%台になったが、出生率は80年代の1.5%程度から90年代に入ると1.0%前後に下がり1994年には1%を割り、現在の上海市人口の自然増加率はマイナスの状況にある。安定人口のなかで急速な高齢化が進んでいる。それは上海市の人口圧力を減らし、人口の資質を高め、外来の人材や労働力を引きつけるには非常に有利であるが、他方では、高齢化によって、労働力の高齢化や高齢への社会的負担が増大していく。

1993年の全市の定年退職者は177.36万人であったが、これは在職者数の35%となり、養老金(年金)など各支出は77.92億元で、総市民収入の4.87%を占めている。推計では2025年に、定年退職者は360万人に増え、その時の在職者の60%に相当する数に達し、年金支出は在職者の月給総額の38%に及ぶと予想されている。

勿論、養老金の問題だけではなく、高齢者の扶養・介護問題なども顕在化してくる。上海市の家庭の核家族化も進行しており、市区部では既に1世帯3人であり、「一人っ子証明書」をもらった夫婦も230万カップルに及ぶ。また、「4・2・1」(祖父母4人、夫婦2人、子1

 

 

 

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