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中国の人口高齢化は日本とは違う状況から始まった。日本の人口高齢化は過疎農村から始まっているのに対して、中国では上海市、北京市、天津市などの大都市から始まったのである。その原因の第一は、上海市等においては、計画出産活動、人口抑制政策が1960年代半ばの最も早い時期から始まり、以降、出生率が低く保たれてきたからである。その第二は、日本でみられるような若者の大都市流入が1957年から戸籍(中国語では、戸口という)管理制度によって厳しく制限・阻止され、と同時に50年代後半の辺境開発支援、66年〜76年の文化大革命期、イデオロギー再教育などによって中学校卒以上の都市青年約1,700万人が全国各地の人民公社、国営農場、軍所属の農場、生産建設兵団に送られたからである。第二は、住宅提供やその他の社会的優遇措置で都市戸籍保有者への有利な処遇もあり、他国でみられるような市区部から農村への人口分散もあまりみられなく、結果として都市の市区部で著しい人口高齢化が先ず進んだのである。(表1)

 

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(2) 上海市の人口高齢化の特徴

1979年、上海市の60歳以上の高齢人口は115.48万人であり、総人口の10.2%を占め、既に高齢型社会に突入した。その速度は前述のように中国全体が高齢化社会に突入するより20年も早かった。1992年の末、上海市人口の年齢中位値が34歳を越えたといわれるが、人口の構造は西側先進諸国の人口高齢化に近いものとなった。推計によると、2010年に、上海市は5人に1人が高齢者(60歳以上)ということになる。その意味でに海の人口高齢化の特徴としてはまずあげられるのは高齢

 

 

 

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