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3. オリンピック選手の泳ぎのコンビネーション

 

1) 山本選手の場合(写真7〜10)

 

写真7〜10は,アトランタオリンピック代表選手で,日本記録保持者でもある山本貴司選手の1ストローク中の水中フォームである。?@の指先エントリーから,?Oの指先エントリー直前までを,16のシーンで示す。

バタフライは,通常1ストローク2キックで,第1キックのダウンビートは,?@〜?Bまでとなり,プル動作では,リカバリー後半のエントリー直前から,キャッチ(アウト・スウィープ局面)までとなる。エントリー後,前方へ指先が大きく伸びているのは,第1キックが有効に働いているからである。?@〜?Aでの脚の動きでは,コンパクトに,鋭くキックが行われている。そして,伸ばされた手は,より前方の水をキャッチしようとしている。

プル動作のアップ・スウィープ局面が終了すると,?C〜?Gまでのイン・スウィープ局面が始まる。この局面中,第1キックのアップ・ビートが行われ,これはどちらかというとダウン・ビートの反動的な動作といってよい。

そして,?H〜?Kの最も推進力の発揮されるアップ・スウィープ局面では,第2キックのダウン・ビートが,プル動作と同調して力強く行われていることがわかる。このプルとキックが同調されることが重要となる。

第2キックのアップ・ビートは,?Kの手の離水(小指側から離水)からエントリー直前にかけて行われる。

 

2) 鹿島選手の場合(写真11〜14)

 

写真11〜14は,200mバタフライ日本記録保持者の鹿島瞳選手の1ストローク中の水中フォームである。第1キック(?O〜?B)と第2キック(?G〜?J)のダウン・ビート,そして?D〜?Gと?L〜?Nにみられるアップ・ビートが,共に力強く行われていることがわかる。これが,鹿島選手の持つ素晴らしいテクニックといえる。?Cでは,膝が過伸展(膝を伸ばしたら“へ”の字になる)しており,特にバタフライのトップスイマーは,形態的に膝を過伸展させることのできる選手が多い傾向にある。

また,?Bのアウト・スウィープが大きく行われることも,鹿島選手の特徴といえよう。

 

 

 

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